投稿日: Oct 31, 2012 1:42:56 AM
Goodbyeケータイ と思う方へ
デジタルのリーディング環境は昔からカオス状態であったので、従来はAppleに対象を絞るならばオーサリングはやりやすいとか、一定のクオリティは出せるという考えがあったが、iPhoneもiPadも多様化した今となっては、もう否応なく対象デバイスを絞った電子書籍もアプリも不可能になりつつある。つまり過去のiPhoneとiPadのコンテンツも近々作りかえを余儀なくされていて、バージョンアップの際に一皮向けるか、消えてなくなるかの選択が迫られるだろう。それは有料コンテンツもたくさんあったガラケーのアプリがスマホ時代に入って淘汰されてしまったのと同じようなことである。
日本のデジタルコンテンツをせっかく有料化してくれたガラケーであったのが、ビジネスとして引き継げないのは、キャリアのビジネスプラットフォームに依拠していたビジネスであったことを以前から書いているが、これからデジタルコンテンツのビジネスをするならば自分でマーケティングすることの重要さが、さらに増してくることになる。そこでEbook2.0 Forumと共同のプロジェクトとして電子出版再構築研究会オープンパブリッシングフォーラムで、第一期としてマーケティングを取り上げて、「出版ビジネスに何が求められているか」 「出版マーケティングをみなおす(1)復刊ドットコム」 新しい出版マーケティングの時代 というミーティングを行ってきた。これらを一度総括してマーケティング課題を整理しようとしているのだが、目下の課題としてのAmazonやKoboの対応とは別に、中期的にはオープン化する環境を前提にメディアそのものを考え直すことが必要だと感じる。
マルチデバイスが現実となった今となっては、Kindleがデバイスを変えながらでも一連のコンテンツを読みつないでいけることの利便性が高く評価されるようになった。つまりデバイスとリーディングの分離である。これはAmazonに限らずいろいろなところで取り組まれているクラウド型サービスで、著名人のBlogを定額課金(150円/週)で読み放題で提供するCakesでもPC から各種モバイルデバイスなど多様なスクリーンに適するデザインや仕掛けを用意している。
この分野のオピニオンリーダー的なreadwriteサイト自身も a new design and a new approach に踏み出している。しかしこういったマルチデバイスとそれに適したリデザインを指向するだけではなく、それによってどんな人はどんな読書体験をするようになるのか、という読者像ごとのリーディングスタイル描いてアプローチする独自のマーケティングがベースに必要なのではないだろうか? それを行っていくと、自然と紙媒体からの移行というのも、あるいは紙媒体との役割分担が見えてくるのだろう。