投稿日: Nov 12, 2011 1:13:30 AM
日本の若者に期待してもよいと思う方へ
アスキー総合研究所が行っているメディア&コンテンツサーベイ(MCS)から遠藤諭氏が「ソーシャルネイティブの時代~ネットが生み出した新しい日本人」(アスキーメディアワークス)という本を出したことを、記事『新しい日本人とどう付き合う』で書いたが、スマホやタブレットに親しむ若者は世界的な現象で、日本というマーケットには日本固有のビジネスがあろうが、これからはデジタルコンテンツもグローバルなビジネスになりそうだという直感は多くの人が持ち始めている。日本でのデジタルサブカルチャの先駆的な経験が、こんどこそは海外進出にも役立つかもしれないと期待する人もいる。
日本がコンテンツ輸出で弱いのは契約交渉における飴と鞭のさじ加減の経験が足りないからである。韓国も過去の経験はそれほど無いはずだが、ウォン安もあるためか、なぜか近年はうまく輸出をしている。しかし過去のハリウッドの戦略や人的交渉力による輸出だけがビジネスの方法ではなく、第3の方法としてYouTubeやニコ動などソーシャルメディア的な方法が出てきつつあるように思う。それは聴衆がデジタルネイティブになるからである。今の日本ではnetflixの進出に戦々恐々としているし、これからスマートTVなどもコンテンツビジネスに斬り込んでくる。そこにソーシャルメディア系のボトムアップという三つ巴のコンテンツ市場向けマーケティングが展開されようとしている。
だから若者がデジタルとともに育つのに対応することだけすればコンテンツビジネスができるわけではない。ウチの子供も小学校で漢字を習う前の幼稚園の頃からカナ漢字変換を使っていたし、高校になるまで、PC、ケータイ、初音ミク、スマホ……などに関しては親の知らない間に横の関係で何でも吸収していた。こういうスキルアップが自然にできる環境がデジタルメディアのクリエイティブ側にも消費側にも及んでいる。何が面白いか、どいういう動機で、どんな局面で楽しむか、また友達とどういうことをシェアしているのか、残念ながらデジタルネイティブの人自身でなければわからないだろう。親である私は想像するしかない。でもこの人たちがグローバルに活躍するようになってもらいたい。
結局その人たちのリテラシーに合うようなマーケティングとかプロモーションも新たに挑戦する必要があるが、それもその人たち自身のやるべきことになるだろうし、そこにグローバル化の可能性もある。既存のメディアビジネスの延命策として、お茶を濁したような電子書籍が若者の心を動かすようには思えないし、グローバルにもならないだろう。今はコミケや個人Blogで作品を出しているアマチュアのコンテンツは何十人とか何百人くらいしか見る人はいないが、いろんなデジタルメディアやデバイス、またソーシャルメディアなどコミュニケーションのサービスが出ては消えることが繰り返される中で、デジタルコンテンツの登竜門も今までとは異なる形で出てくるであろう。デジタルネイティブの増加は抗しがたいものなのだから、それに掉さすのではなく、むしろコンテンツ輸出の手助けをする側に立ちたいものである。