投稿日: Jul 24, 2015 12:44:36 AM
会議の際に参加者が資料を用意する習慣がきちっとある会社は意外に少ないと思う。Agendaに沿って何らかのコピーを用意することくらいはするだろうが、自分の考えたことを要領よくまとめて、論拠となる資料を示すような、レポートを作る習慣は、限られた職種になっているかもしれない。
少なくとも日本の国民的には文章力は高いとはいえないな、とネットにあふれる記事を見て思うことである。そこでやはり編集が必要だとか、編集力向上とかいうことになるのだが、これはちょっと違うと思う。
編集力は、かつては紙媒体を制作するために、また今はネットでの情報発信のために、情報をかき集めてきて、取捨選択して、まとめる能力のように思われるが、本来はそういうことは編集の専門職に任せることではなく、それぞれの仕事の領域で働いている人にも持ってもらいたい能力なのだ。
つまり商品開発においていろいろな会議が行われるだろうが、その時点でドキュメントがしっかり作られていると、製品が出来上がる段階で販売用の資料を作る際にも意見がブレにくくなり、広告代理店にカタログ原稿まで書いてもらうような必要はなくなる。社内の製造販売の各分担も一貫したポリシーで貫きやすくなる。
今日オウンドメディア云々といって、企業が自分のビジネスドメインに関するコンテンツ発信をすることの意義がいわれているが、社内の各専門部署の人に突然原稿を書けと言っても無理があるし、それを上司が修正して、また広報の人が修正して…など相当の非効率なことになることは目に見えている。
課題は文章を書くことではない。むしろ事業のコンせプトを煮詰めるように社内のみんなが働いているかどうかである。コンセプトがはっきりしていたら、必要なことを書きだせば、それを文章として成形することはそんなに難しくないだろう。
オウンドメディアを充実したいならば、社内の隅々に冒頭のレポートの習慣のようなドキュメントの作法を身に着けさせることである。コピペで文章を作る必要はなく、原文を資料として添付する形で、要点を自分でまとめることを皆にさせればよい。要点をまとめられない人は、やっぱりその仕事には向かないと判定してよいだろう。
また製品が出来上がっている過程に沿って、関連したドキュメントも整理されて残っている必要がある。ドキュメント管理がないと後から参照することはできないからだ。これによって社内のベクトルを合わせていくのだという意思が無ければ、管理はおざなりになって、非効率が改善できないことになる。
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