投稿日: Jun 04, 2014 12:46:7 AM
情報発信の敷居
組織がホームページを作ったものの、あまり効果が感じられないというのは、元々目的とか効用とかに達する計画を十分に考えないで取り組んだからだということが多い。目的は売上増進であったりクレーム減少であったり、どこでも設定はしやすいのだろうが、それを計画にする段階で最大の課題は社内の人間の能力によることは、記事『内外均衡』で書いたとおりである。ではどのような人材が必要になるのか?
Webというオウンデメディアが登場した1990年代中葉から、自メディアを運用していくには最低3人の担当者が必要だといわれ、基本的には今も同じで、エンジニアと、編集長とマーケッタの3人である。当初は自社内にサーバをたててルータの設定をして云々とエンジニアのすべきことがいろいろあったのだが、これは時代とともに随分と軽減していった。今では外部のサービスを使ってたいていのことはできてしまうものの、バックアップなど可用性とか、障害時の対応を考えると技術に明るい人がいないと混乱することは多い。システムは改善されて成長していくものであることを考えても、どこかに技術面で見守ってくれる身内の人はいることが望ましい。
第2の役割の編集長は、紙の媒体と同じ様に企画して情報を集めて編集して制作するという流れがデジタルメディアでもあるので、必要なのは当然である。しかし現実には編集長の何たるかをわかっていないでホームページをやっている企業は多い。最近はネット上でメディアを名乗っているところでも、かなり心細いところは目立っているように思う。どんな組織でも情報を発信する以上は、要するにコンテンツの質を向上させて維持していくためのリテラシー(読み書き能力)をもった担当者が必要である。
第3のマーケッターというのは、自社サイトに人を誘導することと、一旦見てくれた人をリピーターにするための担当者である。従来も組織の中に広報という部門はあるが、実際は広告代理店への発注窓口に過ぎなかったり、社長の言いたいことに奉公しているだけで、顧客視点になっていない場合が多く、そういうマスメディア向きの広報担当者はネットのような双方向でクチコミ型のメディア特性と相性が悪い。むしろ若い人でもネットの利用者視点のデジタルメディアリテラシーをもった人をこの役にあてがわなければ、コンテンツは埋もれてしまうのである。
このように3つの役割を分業できない個人メディアの場合は、その人が3つの能力を備えているか、あるいは ブログサイトとかキュレーションという外部の仕組みが第1や第3の役割を果たしてくれるのを利用するかになる。しかし以前なら紙媒体の業界紙が居たような位置であるニッチでB2Bの分野には、まだブログサイトやキュレーションというのは発達していないので、B2Bは個人が活躍することは難しいと思う。