投稿日: Sep 13, 2011 10:16:24 PM
無用な作業を減らしたい方へ
会議で白板に書いたメモを整理して参加者に配って欲しいと言った時に、デジタルになって仕事が遅くなった人がいた。白板にもプリント機能があるので、それらも利用できるはずなのだが、WordとかExcelで作図を始めて時間がかかってしまう。資料を付けるとか会議の内容を深めるのなら、いくらか時間がかかっても意味があるかもしれないが、清書という仕事は実際どの程度でいいのか判断できないと困る。今では手描きメモをケータイで写して参加者に送って済ますことも多くなった。メモとドキュメントは異なる。
メモでもWordで起こす意味がある場合はある。文書のデジタル化でよい点は更新が容易な点で、昼間のメモ書きが夜のうちに自宅作業でまとまったレポートになり、朝に自分で校正とか見直しをして、午前中に社内の関係者と打ち合わせて、1日後には相当進展してしまう場合もある。つまりノートPC、Web、オンラインストレージなどの発達で、人の思考の進み方にシンクロしてドキュメントとか情報が進展するようになる。これを複数人の参加で行う場合に、昔ならニューズグループ、ショートメッセージ、そしてSNSなどを使っているが、重複部分が多すぎてまとまったドキュメントにはならない。そこでWikiのような共同編集によって、ドキュメントとしてのまとまりのあるものを作る方法が生まれた。
それまでもグループウェアとドキュメントを合わせたようなソリューションはあっただろうが、Wikiの登場は技術の進展というよりは作法の定着とでもいえるものだ。つまり文書のソリューションごとにルールや操作方法が固有であると、いくら優れていても定着し難いことは、ワークステーション用の専用システムが負けてWordが残ったことからもわかる。専用システムは何らかの開発コンセプトに基づく大きな長所を持ちながらも、いったんそこに入ってしまうと冒頭のメモを必要以上に清書してしまうようなところや、外部とのデータ変換という点で、余計な作業も抱え込んでしまって、かえって非効率も増えることがあったのだ。むしろソリューションという垣根のないWikiの方が、それぞれ手持ちの情報ツールを駆使して、ストレスなく使えることになる。
パソコンのハードウェアやMS-Officeのような普及した情報環境と、情報配布閲覧手段としてのスマホやタブレットの普及、これにサーバのデータベースや、印刷ならInDedignといった専門アプリ、などが有機的に関連して、リアルタイムに情報の共有ができるようになることが、クラウド化の一歩手前の目標になるだろう。従来マルチユースとかクロスメディアとか時代時代でいろいろな呼び方がされたが、語られた多くはコンテンツのソース側と利用局面の表示・操作側のみで、途中のシステム間のデータのやり取りは不透明であったが、アプリ連携はマッシュアップで、データの一貫性は同期をとることで、本当にマルチユースのクロスメディア的パブリッシングが見え始めている。
しかも異なるシステム間でデータの同期をとることは、従来ならフォーマット問題であったり、データの変換にともなう校正の問題であったことが解決するので、制作作業の効率化や工数削減にもつながる。むしろ現場の人にとってはクラウド化云々よりも、目下のデジタルに伴う非効率解決としてマッシュアップやデータ同期に関心がもたれるかもしれない。そういう動機での現場のIT強化でも将来への発展性がもてるようにもなる。
関連セミナー 打つ手はある!情報処理型パブリッシングで今ここまで出来る! 2011年10月5日(水)