投稿日: Jan 23, 2012 12:49:58 AM
コンテンツの利用促進を考える方へ
ほぼ1年前に記事『キュレータになろう、なんて』で、キュレータとは何かを考えた。Naverのようなマトメサイトがキュレーションを名乗っているが、メディアがキュレーションするのではなく、メディアの役割は世の中からキュレータをあぶりだすことにあると思った。キュレータと編集者が近いことも書いた。ネット上には写真の投稿サイトがたくさんあり、SNSにも話題提供していて、そこからマスメディア並みに知られるようになった写真もたくさんある。ただし投稿サイトだけあってもそうはならず、らばQ、カラパイヤその他多くの写真選択サイトがあって、そこで一旦写真やコメントがピックアップされ編集されたものに人々は目を留める。初期の頃はポータルサイトのニュースの間にヒマネタのように扱われていたものが、次第に独立しつつあるともいえる。
このような面白写真サイトはページビューを稼いで広告収入(AdWordsを含めて)を得る目的で行われているので、雇われ編集者が作業しているのだろうが、個人が自分のホームページで特定分野のものを扱えばキュレータに近づく。商業メディアは編集者が代替わりすると面白くなくなったりテイストが変わったりするように、コンテンツそのものとは別に情報の取捨選択をする人に次第に目が向けられるようになると考えられる。これは以前から音楽ならDJのような立ち位置があったのが、デジタルでコンテンツが扱いやすくなったので、いろんなコンテンツの分野ごとに再編集のサイトとかイベントとか店などを起こすことができる。つまりコンテンツの経済としてはレコードやDVDのような完パケを売るのとは別に、ちょっとした利用料金を稼ぐ可能性が出てきたことでもある。
先日『CCはSOPA/PIPAに反対です』 という記事がCCライセンス作品への表示方法を説明していたのだが、クリエイティブコモンズは利用可能なコンテンツの流通を促進する活動をしていて、上記のようなコンテンツ再編集には欠かせない機能であると思う。すでにアメリカではネット上の投稿サイトの多くがCCライセンスを使っているが、日本での普及はイマイチ感がぬぐえない。しかしDJの延長上にはRemixがあるように、再編集と紙一重でコンテンツ再利用が始まる。日本はそこにJASRACなどの難題があった。しかし初音ミクのようなボーカロイドが利用できることで少し自由度は増した。今カラオケの利用も一人カラオケが増えているそうだが、既存コンテンツを使って遊ぶことは、デジタルでコンテンツが扱いやすくなったことでいろいろできるようになってきた。YouTubeの動画投稿も総統閣下の怒りなど個人がRemixしたものが多く上がるようになっている。
冒頭のキュレータが鍵かどうかという点に戻ると、人はキュレータの選んだものをただ受身で見ているにとどまらず、カラオケでもRemixでもコンテンツに参画する楽しみを増やそうとしている。今のキュレーションの在り様は、特定分野で物知りな人が自慢しているようなものになりがちであるが、もうひとつの行き方としては人々がコンテンツで遊ぶためのキュレーション、つまりコンテンツのゲーム化をお膳立てするようなものがあるのではないかと思える。ひとりカラオケでも初音ミクとデュエットとか自分の歌にコーラスをつけるなどもありえる。完成された楽曲を販売する既存の音楽ビジネスと、対極にあるアマチュアの自作自演の間にある、カバー/Remix/コミケのサークル、のようなコンテンツで遊ぶ分野は非常に大きいと考えられる。