投稿日: Apr 21, 2014 12:41:2 AM
カメラは滅ぶか?
10年前の2005年頃の日本はカメラがアナログからデジタルに怒涛のように切り替わっていた。コンパクトデジカメが家庭用カメラとして広まり、その画質もアナログカメラを凌ぐぐらいになりつつあった。コンビニの棚の「写るんです」やフィルムコーナーもみるみる縮小していった。1眼も相当数がデジタルに切り替わってきた。なぜ覚えているのかというと、母が脳出血で亡くなったのがその頃で、棺に入った姿が写真に撮られたのだが、人気のデジカメで撮られた画像は肌がほんのりピンク色になっていて、カメラが色を作っていることがわかったからだ。つまりデジタルカメラは信号処理や画像処理を内部に組み込んだことで、フィルムカメラよりも利用者の満足度を高めた。デジカメの特徴は撮影時点で処理を施すという動的な使い方に出てくる。
それから10年経って、スマホの内蔵カメラがコンパクトデジタルカメラのレベルに上がっている。10年前のケータイのカメラは画素数も少なく階調もひどいものだったが、今のスマホのカメラは原価がおそらく1000円台だと思われるが、雑誌の取材写真に使われるくらいになった。では従来の独立したカメラは滅んでいくのだろうか?
しかしカメラの用途は「写真を撮って整理して保存する」という静的なものから、ARとか画像認識など動的なものに変わりつつある。つまり用途は、静止画、動画、画像データ取得、という3つに分かれて進化するということと、それらの用途の配分が、スマホとかカメラのピンキリの差などデバイスごとに異なってくるということだろう。
スマホになってARアプリのように、撮影時点で任意の画像処理を行うことが可能になったので、パソコンでOCRやOMRをしていた業務分野も、モバイルなアプリを適用して仕事のプロセスが変わってくるようになるだろう。自動車を無人運転する試みがあるが、自動車にいろんなカメラをとりつければつけるほど走っている周囲の状況は把握できるようになるので、有人運転でも事故防止につながるアプリは増えていくだろう。それにはアプリを作る環境として、関連データが容易にマッシュアップできる土台が必要である。その自動車がどこをどのように走ってきたのかというログなどは今日ではとれるようになっているのだろうか?
以前に大型トラックが道を曲がる場合に死角にある自転車やバイクを巻き込む事故が多発していた。もし走行ログがとれていたなら、どのような場所で事故が多いかの予測ができるようになるだろうし、その警告を運転手に出すこともできるだろう。大型トラックの場合は、結局は人が見れない死角をカメラで補完するようになるには、ガラケーのカメラモジュールが登場してから10年くらいはかかった。つまりスマホのカメラが向上しても、それが業務フローを変えるとか社会的効用をあらわすには、10年単位の試行錯誤が必要になるのだろう。
つまり、カメラ、スマホ、画像アプリ、GPS、データベース、などそれぞれ単体の発達だけをみているだけではなく、こういった変化を総合して、次世代のユビキタスコンピューティングを考える継続的な努力がなされなければ、今の日本の閉塞感は突破できないと思う。