投稿日: Dec 27, 2010 11:0:50 PM
デジタルメディアの抵抗勢力は多いと思う方へ
今日ではWebの情報量と印刷の情報量のどちらが多いのかというほどWebが広まったのに、Web業界というのはないし、Webの業者もそう大きくはなっていない。Webの制作はどんなパソコンでもできるし、一箇所に1000人が集まって仕事をしなければならにようなこともない。デザイン、コーディング、コンテンツ、サーバ、監視、それぞれがバラバラでも仕事に差し支えないからである。Wikipediaはコントリビュータは世界中に数多く居るものの専従は6人で350サーバで世界にホストしている。特にデータセンタが安価になりクラウドが発達すると、メディアのビジネスをするのに大規模な組織を作る必要がなくなる。
Web新聞のHuffingtonPostは新聞社のWeb版以上の評価がされるものとなったが、ネット上のコラボレーションで成り立っていて、組織的には従来の新聞社と全く異なる。既存メディアがネットメディアに進出できるきっかけはいろいろあっても、もしそれがうまくいくと組織のリストラに成りかねないところがブレーキになるかもしれない。電子書籍では印刷発注のプロは不要になる。また従来企業が広報やマーケティングをするのに、広告代理店や調査会社やコールセンターを利用していたのが、それぞれがネットに絡んだサービスになると、複数の会社に似たことを発注するのではなく、統合した回転のよいシステムが欲しくなる。
つまり新しい統合的で横断的なデジタルメディアは、垂直的に棲み分けをしていた既存メディアにとっては大変な脅威となりえる。Webが業界を形成できないのは、httpの見える世界の勝負が重要なのではなく、今Webも使っている既存メディアビジネスを横断的に再構成しようとする大きな力がマグマのように核心にあり、Webという共通性だけでは仲良くまとまることはできないからである。欧米ではWeb新聞の有料化は明暗がはっきり分かれた。多くの新聞社は失敗である。既存メディアからは、デジタルメディアは手を出したくても出せない毒饅頭に見えるかもしれない。新旧メディアは同居出来そうで出来難い。
しかし一部にはネットで有料化できているメディアもある。Webで情報発信ができるからネットでメシが食えるのではなく、食っていくにはネットやデジタルメディアに対して、また今日の生活者の情報接触に関してどのような見識が必要なのかを考えなければならない。情報とは?、サービスとは?、技術革新の潮流、その成長のペース、技術革新を突き動かしているものとは何か、どのような組み合わせがどんなことに有効になるのか、こういったことを整理して、自分のビジネステーマと突き合わせて考えられると、小規模な組織でも破壊力のある活動ができそうだ。mediverseの次世代メディアビジネスプログラムは、そんな戦闘力の源となりたいと思っている。