投稿日: Oct 23, 2013 12:28:24 AM
制作ではもうからないが…
日本において産業のサービス化はB2Bにおいては相当進んでいて、単なる運送屋さんに引越しを頼むよりも、梱包から室内の配置までやってくれる引越しサービスを使う人が増えた。生鮮や冷凍、小口配送とか手荷物の持ち運びも運送業がサービス拡大をして新たに経済化した部分である。しかしB2Bではコストや効率やいろいろな検討課題があるせいか、他業者に業務の一部をお任せするようなサービスの導入はそれほど進んでいないかもしれない。例えば企業は電話応対業務をコールセンターに出すようになったが、社労士に頼むような総務の業務はまだ社内でやっている場合が多く、BPOが必ずしも一般化はしていない。SaaSはまだ未開拓であると思う。
BPOが難しいのは、最初から業務を丸投げをする決断ができないからだろうと思う。引越しサービスも長い期間のサービス開発の積み重ねで今日に至ったわけで、最初はそれほど個人宅に立ち入ったサービスはしていなかったはずだが、利用者側の経験や評価が積み重なるにつれて次なるサービスを増やしていった。このように利用者に学習させるプロセスが伴わないと、サービスの拡大というのは難しいのだろう。つまりサービスの浅い深いというのをメニュー化して、顧客の経験値に応じて選択してもらい、次第にアップグレードしてもらうようなビジネスのやり方が必要だろう。
結局現状で顧客の懐に食い込んだサービスをしているところは、過去に顧客の信頼をベースに少しづつサービス拡大をしてきたところであるといえる。それをサポートするシステムとしてCRM(顧客関係管理)とか、事業を発展させるコンセプトとしてカスタマ・エクイティとかがあったが、こういうシステムや考え方を導入する前に、顧客の信頼を厚くするために日常からやっておかなければならないことがあるだろう。その第一は顧客のビジネスの成り立ちを理解することであり、顧客の抱える問題を知り尽くすことだろう。その中で自社が出来ることを少しづつ引き受けることになる。
印刷物の制作なら、原稿作りから印刷仕様の設計の段階からお手伝いができて、在庫管理から追加発注までも引き受ける業者がいる。資材モノなら1年2年3年というスパンで単価を決めて任されている。これがWebやモバイルになると、サイト制作だけでなく運用も受注するようになる。つまり注文の受付とかCRM・ダイレクトマーケティングがサイト制作と深く関係しているからだ。こういった顧客の業務そのものがこの場合の単価になるだろう。
デジタルメディアに関するビジネスは制作だけに終わらず、サービスを深めるきっかけとして取り組む方向になる。むしろ「制作」はサービスの一部分に過ぎないものになっていくだろう。