投稿日: Jun 11, 2013 12:56:19 AM
ビッグデータを誰が活用するのか
CIA元職員がアメリカの国家安全保障局による通話やネット利用に関する個人の情報の収集分析に関して内部告発をした。本人は香港で暴露していて亡命をしようとしている。それでまた明らかになったのが、どうして香港に行ったのか、香港に行くまでに誰とどうコンタクトをとっていたのか、について通話記録が調べられるだろうという。人柱だ。この29歳のエドワード・スノーデン氏はCIAとかで何かの専門家ではなく、元々は民間企業でセキュリティの警備員として雇われたのだが、コンピュータ知識があったのでその会社で昇進したようだ。高校中退だったが年収2000万円くらいになったという。政府の機関でも働いている人の半数は民間企業から派遣のような形で来ているらしい。
通信の傍受とか通信記録のトレースはどこの国でも行っていることで、日本でも相撲の八百長を調べるのにケータイメールのやり取りがかなりの過去に遡って調査されたことが記憶にある。つまりケーサツは通信事業者に対して通信の情報を消さずに何かのために補完するように指示していると思える。Wikileaksのジュリアン・アサンジ氏によると、かつての通信の傍受とか通信データの開示要求は特定の容疑者に関して行われていたものが、今回のアメリカの収集分析では誰でも対象になるものとなったのだという。
オバマ大統領も怪しい人物を浮かび上がらせるためであるというが、この間の動向をみていると大統領を脅迫した疑いでコメディアンを捕まえてみたり、見当はずれのことも結構ある。日本のサイバー犯罪捜査は警察が無知で起こったものだったが、アメリカはデータに頼りすぎた捜査で起こった過剰なIT依存によるものだろう。しかし、ちょうどAmazonの初期ではオススメがピンボケであったのが、次第にそれらしいオススメになっていったように、怪しい人物マイニングも次第にビッグデータ処理の活躍の場になるのだろう。
さらに今回、嫌な感じを受けているのは、アメリカが世界的な通話監視プログラムに取り組んでいることで、アメリカの安全のために、敵を支援したとか敵に利することをした人物を訴追する動きがあることだ。エドワード・スノーデン氏についても中国にかばってもらう約束を事前にしていたならば国家反逆罪になってしまう。
アメリカにはいろんな集団妄想による集団ヒステリーの歴史があって、禁酒法、赤狩り、反進化論、などが民主主義の名の下にまかり通ってしまった過去がある。これは政治だけではなく、コンピュータウイルスに対する強迫観念が一般人にも広がってジョン・マカフィーが億万長者になったという話がWired(ベリーズに死す:IT業界の狂犬ジョン・マカフィーと頽廃の王国 http://t.co/7YO9IpYLMc )にあった。マカフィーは『自分自身のパラノイアを人々に伝播させる能力によって、マカフィーは裕福になった。』という。
ビッグデータ処理が反社会的な動向の予防のために使われるのは結構な面もあるが、集団妄想・集団ヒステリーを拡張してしまう危険性もあるといえる。