投稿日: Feb 05, 2013 12:49:39 AM
まだ基礎技術が足りないと思う方へ
紀伊國屋書店BookWebPlus(Kinoppy)が2月1日から3月3日まで、文化庁 eBooks プロジェクトの実験として、国立国会図書館デジタル化資料で、アクセス数や館内閲覧実績の多い作品で、「公序良俗を乱す」という理由で製本中に発禁処分を受けた「エロエロ草紙」をはじめ、当時の文化などを今に伝える貴重な資料7作品の無料配信が始まった。アカデミック分野でもエロのアクセスが多いというのは意外だが、ひょっとすると過去のアーカイブもイロモノやトンデモは実際のビジネスの結びつくかもしれない。SFやオカルト作品のベースとしても聖書が使われているように、アーカイブは現代の作品のインスピレーションを与えるものであるからだ。
特に元が文化財のようなものは、現物に触れることができないとか、展示方法に制約が多くて、自由に手にとって見ることができないものなので、デジタル化する際に元来の利用形態をシミュレートできるビューワ・リーダが欲しくなる。東洋の場合は巻物という形状があるので、横にスクロールするリーダが欲しくなるが、これが適当なものがない。以前にWebでの縦書きを検討したときに、一番困った問題だった。縦書きの場合は最初に開いた段階で右上からスタートして欲しいからだ。
こういった要望は世界にいろいろあるだろう。ヘブル語の古い巻物の場合は巻物は左端から始まり、順次右側のページに読み進んでいく。ユダヤ教の聖書などはページ(というか段落のようなもの)概念があるので、ページめくりで右に進むのでもよいのかもしれないが、グラフィックなものでは、スタート位置と進行方向を自由に設定できる必要があるだろう。こうするにはブラウザなどは根本的に考え直さなければならないのかもしれない。どこも引き受けるとはいわなかったようだから。
しかし実際にはGoogleMapやGoogleEarthのように自由にスクロールできるものは使われているので、要求さえしっかりしたものが固まれば、次第に紙媒体の自由度を超えるデジタルのリーダーができるようにはなるだろう。今まではその都度の限定された要求で、例えばページめくりのようにとかを開発していたので、逆にデジタル化する際にはそれに合わせなければならなくなり、今回のように巻物が表現できないなどのことが起こった。
また地図のような拡大縮小と自由なスクロールをするものもフラッシュで提供されたものがあるが、大変情報量が多くなってしまって、負担が大きいというようなこともあった。だがCADの世界では昔から拡大縮小と自由なスクロールは当たり前だったのだから、HTML5になってそういった座標ベースのアプリも可能になりつつある。
そろそろ本やカタログなどの紙のメタファーから離れた発想で、ブラウザ・リーダもアプリも考えるべきところにきている。