投稿日: May 24, 2012 12:5:41 AM
アイディア倒れが多いと思う方へ
スマホ・タブレットの普及に乗っていろんなメディアビジネスを起こそうという動きがあるが、まるでゴールドラッシュのようにいろんな人が殺到していても金を手にする人は少ない。大多数の人はAdobe他ツールやさんに奉仕して終わりなのかもしれない。Appleにしても確かにデバイスはたくさん売ったものの、提供しているサービスがすべてうまくいっているわけではない。デバイスができてアプリができてコンテンツがあって、あとは使ってもらうだけとなってから先が大変であるということである。だからデバイス・アプリ・コンテンツ以外のところに何かノウハウがなければビジネスにはならないと考えたほうがよいだろう。
テープレコーダーができたとき以来、英会話の自習教材という商品が作られ始めた。私の知り合いなどもダンボール箱にカセットと教材の詰まったものを買い込んで、2-3巻聞いて放り出した人を何人も知っている。テープもカセットになり、マイクロカセットになりと、形を変えるたびにお手軽な英会話教材セットになっていったと思う。そういったことがCDでもDVDでもネットでもスマホでも続いているだろう。
業者としてはセールスが一巡した頃に新メディアが登場してくれれば、もう一度似た商売ができるので、本当にワンソースマルチユースなのだろうが、こういったことを通して日本のビジネスマンが英語をしゃべれるようになったのかどうかを考えると、この手の自習方法は結局何の役にも立たなかったのが実態ではないだろうか。アプリやコンテンツを開発して、「このように使ってくださいね」と一方的に押し付けるようなビジネスは、広告とか営業活動で無理やり売り上げを上げたとしても、自然には広がっていかないことを現している。
ネット上で掲示板やSNSのようなコミュニケーション方法も、「このように使えば情報共有ができる」とは実際にならなかったものが多くある。いままたソーシャルメディアを「このように使えば……」方式のアイディアやファンディングがいくつも並びだしている。ネットの上ではガンガン広告とか営業活動をしなくても情報拡散があるので、ある意味ではスタートしやすくなったからである。しかし本当に使ってもらおうと思うと、始める前に考えたことや考え付かなかった点について、地道にマメに改善を積み重ねて、マニュアルや指導なしでも自然に使ってもらえるように育て上げる努力が必要になる。
デジタルでメディア開発は短期間でできるようになったものの、育てる努力とかサービスが伴っていかないとアイディア倒れになってしまうのだろう。子供を幼児段階から英才教育すれば東大に入れるという教育プランだけにはお金は払ってもらえないが、実際の教育そのものに価値を感じたならお金が払われることを考えてビジネスを組み立てなければならない。