投稿日: Jan 16, 2015 1:44:40 AM
フランスの風刺画週刊新聞シャルリが襲撃されたことで、いろんな議論がされているが、あまり複雑な背景があるようには思えない。私はシャルリがどのようなものか良くは知らないのだが、歴史的にフランスではこういう風刺画の伝統があり、それを受け継いでいるものだと思う。
個人的にはこの種の風刺画のテイストは好きではないのでじっくり見たことはないのだが、アメリカの雑誌や新聞にもこういった風刺画が載ることはあり、おそらく西欧全体である程度は認知されたスタイルなのであろう。日本の瓦版のように何百年前から欧州では配布されてきたものだろう。
今回の議論で、これらの風刺画がヘイトにあたるのかどうかとか、表現の自由は保たなければいけないとか、イスラムとキリスト教文化の対比とか、かなり風呂敷が拡げられてしまっているが、フランスという場所柄を考えればシャルリは異様なものではなく、また節度を越えたものでもなく、ジョークの範疇に納まるものであったのだろうと推測する。
私的にはこのジョークは理解できないし、好感がもてないという点ではシャルリの支持はしにくいのだが、フランスでの追悼デモの様子などをみると現地の支持はそれなりに高いと感じる。
しかしシャルリの支持者は何らかの宗教的価値観とかイデオロギーに基づいているのではないだろう。むしろフランスのお国柄としては、宗教も政治も経済も既存の権威になっているものはすべて揶揄してよいという、一種のアナーキーな気風があるからではないかと思う。
シャルリにどんな思想的な背景があるかとか考えても、大衆受けを狙ったうわべの皮肉の域をでていないので、多くの議論が今一つしっくりこないのかもしれない。
テロリストはイスラム過激派のように言われるし、どこかで自称していたかもしれないが、事件はイスラム教とも関係が無いだろう。マホメットは昔のキリスト教徒の迫害に耐える姿勢を見て宗教者になったということだし、単純に考えても迫害はおろか揶揄に耐えられないようでは宗教的な信仰心があるとはいえない。単純な挑発にすぐキレて人殺しをする者を支持するイスラム教徒はいないと思う。
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