投稿日: Jul 18, 2015 12:18:33 AM
イノベーションの話になると、ハイプサイクル・ハイプカーブの話しになり、最初に期待だけが独り歩きして膨張したあげく、それらに失望する時期がすぐにやってきて、その底からまた這いあがるように本当の応用とか定着が地道に右上がりに推移するような道を、近年の大抵の技術トピックスは辿っている。
これは技術の問題ではなく、新ビジネスに対する投資とかで動くお金とか、もっと根拠のうすいものではメディアを通じて流される情報によって、取らぬ狸の皮算用的な期待が素人の間でも取り沙汰されるようになったからである。イノベーションもバブルの対象にされてしまうという例であろう。
スマホなどモバイルが普及した後には、すわっGoogleGlassとかAppleWatchのようなウェアラブル端末の時代か!という雰囲気が一昨年くらいよりあったが、それも失望の谷底に向かうのかもしれない。ウェアラブルが右上がりになるかどうかの見極めは、少々高額の投資でも役に立つなら使おうというBtoB市場でどれだけ立ちあがるかにかかっているから、まだそれほどの動きはないといえる。BtoB市場で結果が出た後でBtoC市場向けのスケールメリットのある製造競争が始まるのが常だからだ。
もともとウェアラブルは軍とか医療とか特殊な分野では使われていたものだが、それが一般のビジネスシーンに進出できるかどうかという話を抜きにして、一挙に個人消費の話に結び付けられて、ハイプカーブを駆け上がってしまったといえる。GoogleGlassは旅客機のアテンダントなどに利用されようとしているらしく、そういう利用の蓄積が次なる利用分野のヒントになるはずで、こういったBtoBの動きには10年とかの期間がかかってしまうものだった。
そういう助走期間の後に、ある段階で一挙にBtoC分野が形成されてしまうことがある。BtoCのサクセスストーリーはあくまで結果論で、BtoBの実績のない殆どのBtoCプランは机上の空論に終わるものだ。ヘルスケアでいうならば、入院患者とか、施設に入居している患者さん相手にするなど、ターゲットを絞って、ウェアラブルの試行錯誤が行いやすい環境で、まず成功をさせてみなければ、不特定多数の人に対しても効用を実証できるデータは得られない。
つまり運用実績を作ることがBtoBの応用分野の段階での課題であるということだろう。
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