投稿日: Mar 01, 2014 1:24:37 AM
メディアから外へ
2014年に入って東京でも大雪が複数回あった。山梨や軽井沢など山側では過去に経験がないほどの積雪になった。それで多くの被害がでたわけだが、事前にいろいろなイベントが中止になったり、帰宅を早まらせることも多く見られた。天気予報は何日も前から記録的な大雪が来ることを予告していた。最近は天気予報はだいたいあたるように思える。
それは数々のモニタリングや気象衛星や解析のソフトの進歩によるものである。またそれ以外にも気象データを報道やメディアに受け渡すとところも進歩があったことを思い出した。2010/03/28の記事「 気象庁というメタファー 」に書いた、気象情報のXML化である。気象情報の配信を受け取る側がXMLに対応して受信や加工をするようにプログラムしておけば、画面・紙面の制作は自動化され、テロップの文字も表組も地図との合成も瞬時にできるようになる。
こういうことは前世紀末から何度も言われていたことで、アメリカではGoogleMapなどマッシュアップとして盛んになったが、日本では気象のようにお金をかけられる分野でも10年かかって実現した。それは気象庁側の問題もあるかもしれないが、制作にアナログ部分が多く、また外注に丸投げしがちなメディア側の問題が大きいように思える。別の言い方をすると、日本のメディア側はITの進展と疎遠であったのだが、それはITが自分たちの存在価値を大きく変えるとか左右するものであるという認識が薄かったからだろう。
かつてそれぞれの業界横断型の何々MLという標準を作る話が盛り上がった時代があったが、多くは姿を消してしまった。それはそこで考えたことよりももっとすごいことが簡単にできるようになったためというのもある。名刺をデータで交換するという規格は、SNSのようなものが普及すると不必要に思われるようになった。
しかしMathMLなどはこれから本格的に使われるようになるだろう。以前はTeXの数式が標準の位置にあって、Wikipediaでも数式はそれに沿っていたように思ったが、やはり元が文書向きであるので、HTMLベースの世界では直接使いづらいだろう。ブラウザはいち早くMathMLに対応したのだが、Webのオーサリングの側が未発達で、Webで理系の論文を編集するのは紙媒体の時のようには行かなかった。
MathMLは論文や試験問題などのドキュメントの一要素としても交換されるだろうが、気象データの例で考えると、それでグラフやCG表現をしたり、CADや3Dプリンタで直接使われたりとか、数式を実行させて何かをするところまで行くのかも知れないと思う。つまり「メディア」の内に留まるものではなくなるのだろう。
おそらくかつては紙に閉じ込められるしかなかったコンテンツやデータが、データとして独立して流通するようになるのがデジタルとネットの時代なのだろう。それに紙メディアは対抗のしようがないので、別の道を考えなければならない。