投稿日: Feb 06, 2015 1:12:33 AM
本を簡便に作りたいという要求に応えてBookOnDemandのシステムも登場したのだろうが、従来の造本の習慣とPoDのシステム的思考の間の隔たりはまだ埋まっていない点がいくつかある。それは本の制作にかかわる立場が変わると、管理するべき事柄がかわるからで、造本の管理のややこしさは台割に典型的にあらわれてくる。しかしいくらDTPが進んでも台割管理のソフトとか、DTPと管理ソフトの連動というのはなかなかない。
書籍の場合は本文が主体で成り立っているとはいっても、若干の前付けとか後付けページもある場合がある。シリーズ化された本なら図書案内のようなものが本文に続くことがある。雑誌は複雑で広告が主な前付けや後付けだが、間に挟まってくることもある。最近はあまり聞かないものに口絵があるが、何か製本で挿入されるものも時々ある。これらが相互に作用しながら全体の台割が決まっていく。
作業面から考えると、①編集にとっての台割、②印刷にとっての台割、③製本にとっての台割、というように3重にあって、①をふまえて②が作られ、②をふまえて③がつくられる。つまり最初から完全な台割に基づいて作業分担がされるとか限っていない点がややこしい。
編集にとっては折丁のキリのよい単位に目次・本文・索引を収めるのに台割をつくるのだが、端数のページに図書案内を入れたりする。本文数が変更になると、図書案内のページ数を増減して調整するようなつもりだろう。
しかし印刷は編集が考えた通りの折丁で印刷するとは限らず、まず単色・4色とか紙質が変われば別の台にしなければならないし、工場や外注の都合で倍判や半載で印刷する場合があって、台割は作り直しをする。
製本は別々に印刷されたもろもろのものを整列するためにまた台割をつくる。ここにはおそらくいろんな特殊なケースがあるのだと思う。要するに何でもやってくれと言えばやってもらえるのだから。
PoDの場合に従来の製本の特殊なことは要求しないだろうが、デジタルプリントだけではなしに、オフセット印刷された表紙や付き物と合体して製本するとか、異なるプリンターで出したものを合体するとか、やはりある程度の台割の作り直しにはなることがある。
また、もっとも好ましいのはPDFそのままでPoDにもっていくことだろうが、そのためには広告や図書案内のような付き物のPDFと本文のPDFを合体・面付けするものも必要だろう。これは今でも力技でやれるのだが、管理ソフトと連動したようなものが欲しいと思う。
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