投稿日: Sep 29, 2011 10:26:8 PM
日本の立場は難しくなっていると思う方へ
iPhone5の発売が予告された頃から中国ではHiPhone5が登場し先行して売られるようになった。これを偽iPhone5と報道していたのもあるが、本物の姿がまだないのに偽物扱いはかわいそうで、あやかり商法の一種であろうと思った。しかしひょっとするとiPhone5とそっくりなのかもしれない。上海市で偽iPhone製造容疑の5人が逮捕されたというニュースがあった。偽造品に使用する部品は広深圳市あたりで調達したのであろう。オークションを見ていてもスマホの部品が中国から売られている。液晶とタッチパネルの組み合わせで何千円の下のほうだったように思う。彼らはそれらを上海市のアパートで組み立て作業を行っていて、逮捕時には約200台の偽iPhoneが押収されたという。偽iPhoneの製造コストは1台当たり約2000元(約2万4000円)で儲けはあまりなかったという。
驚くべきは、警察が上海日報に明らかにした内容によると、偽造品は正規品に比べバッテリ寿命が短いものの、正規品と同様の機能が搭載されており、「顧客が区別するのは非常に困難」だという。どのような流通ルートがあったのか知らないが、7月に雲南省昆明で摘発された偽アップルストアのことが思い出される。そういったところも偽林檎製品で埋め尽くされていたのかもしれない。この偽アップルストアは看板から内装から店員の着ているものまで本物そっくりで、店員は自分が本当にAppleに雇われていると思っていたという。こういったことは商行為としては違法であるが、働いている人の労働の質を考えると、ここまでできる国は世界にそれほどはないレベルに達しているといえる。つまり経営には問題があるが、人材の可能性は感じさせてくれるものである。
実際にアメリカは日本より20-30年先行して製造業の空洞化が起こり、大学でも工学系に進む学生が減り、カリフォルニア大学の各校を訪れたときも工学部の過半数が中国系の学生になっていた。国の教育機関で白人の方が少ないのはどうしたことかという議論もあった。結局Appleの情報家電戦略が実ったのはMacがアメリカ国内でのOEM生産委託であったのに対して、台湾・韓国・中国とアジアの電子機器の生産力をうまく引き出したユニクロ的経営にしたからである。Appleは製品提供としては次第にペーパーカンパニーになっていくわけで、これはAmazonという流通業者がKindleの設計・販売をすることにも引き継がれていて、Googleも独自製品を持つようになるであろう。
日本はかつてのような世界に向けた精密電子機器工場ではなくなってしまって、同じように大量生産品は中国に依存している。PSPがFoxConnを成長させてiPhoneの成功につながった。日本が今後もコンシュマー製品で生計をたてたいならば、Apple、Amazon、Googleなどと、まだ見ぬ製品に関するコンセプトレベルで戦わなければならない。そこに生産能力を身に付けた台湾、韓国、中国も乱入してくる。アジア諸国は直感的な思い付きを製品化する機動力に関しては日本に勝ることはHiPhoneなどをみても明らかだ。こういうハッキングを通じていろいろなことを勉強しているのでは得られない未来図を日本の企業は持たなければならなくなっている。