投稿日: Apr 07, 2010 12:40:36 AM
メディアとコミュニケーションの定義に悩む方へ
既存メディアのサバイバルに関する書籍があまりにも多く出版されているのに気づいた。気づいたというのは、その手の本は殆ど読んでこなかったからだ。Amazonではカスタマレビューが10以上ある書籍も少なくない。こればっかり集めて読んでも面白いと思った。結構読者が語っているのである。レビューしている人はネタ本を上げたり下げたりしているわけだが、ネタ本の評価はこの際関係ない。レビューから人々はメディアとかジャーナリズムをどのようなものだと考えているのかが垣間見れる。
しかし著者もレビューする人も情報発信ビジネスに意識が行き過ぎているように思えた。確かにマスコミ・マスメディアは大きなビジネスであるが、そのビジネスが儲かるかどうかはどうでもいいと思う人は、既存メディアのサバイバル本は読まないのかもしれない。マスコミ・マスメディアというビジネスを保護しなければならない理由はあるのだろうか? ここら辺のマスコミ・マスメディアに比重をどれだけ置くかの意識が、メディアに関する世界観を分けているように思える。マスメディアはオーディエンスが莫大という意味だが、マスコミは何なのか?
マスコミは「コミュニケーション」なのか? シャノンが1948年に通信の数学的理論によって「情報理論」を発表した。今日Communications Technologyといえば情報通信技術となる。これは情報が正確に伝わったかどうかをシミュレーションするものなので、送りっぱなしではなく、発信と応答のセットで両者の間にコミュニケーションが成立すると考えるものである。それからすると、不特定多数が相手で一方的に送るマスコミがコミュニケーションに含まれるとは考え難い。
マスコミとは何か。マスコミュニケーションの効果・影響力というのはプロパガンダである。選挙の連呼のように反復をするうちに「学習」させる仕組みという面がある。だからコマーシャルメッセージも相乗りする。これは悪い意味でもない。難しいことを勉強しようとすると、似た本を何度も読むことになるように、何度も同じような話題を見聞きしているうちに認識できる方法でもある。ポジティブに考えれば、情報の反復から生じる心理的共振が人には快になることに基づいているのだろう。
だからマスコミはpullで一度きりの情報伝達とははっきり区別をした方がいい。通信と放送の融合というのも、コミュニケーション論は避けて通れないので、簡単には議論できない要素を含んでいると思う。