投稿日: Nov 08, 2010 10:22:12 PM
デジタルメディアに就く人は野武士であれと思う方へ
東洋経済が発表した就職ブランドランキングでは、昨年2位3位だった博報堂・電通が何位かランクを下げ、9位だった講談社は大幅に下がり、TV局も押しなべて下がっていて、マスコミ系は全般にずり下がっている。もともとマスコミがそれほど上位にいたわけではなかったと思うので、これは景気の回復で一般企業が持ち直したためかと考えたが、よく見ると昨年13位だったJALが70位でまだランクインしているとか、トップがJTBなど珍現象のようなものもあって、このランキング自体が実に不思議なものに思える。意外にITやネットで話題になっている会社が入っていない。またそういった関連の外資系も非常に少ない。当然ながら今では日本の家電メーカーを追い抜いたサムソンなどもない。
そもそも昔から大学生の会社人気は実ビジネスの盛りの絶頂期を超えた会社に偏る傾向があり、もしその会社に入ったらあとは下り坂で人生を送らなければならなくなってしまうかもしれない奇妙なものであった。こうなるのは大学生が会社を判断しているのではなく、親が子供に勧める会社が上記のような傾向にあると考えられる。つまりそろそろ定年の親世代、とりわけ母親が自分の夫もこんな会社に入っていたならよかったなあと考えていることが、子供に擦り込まれてしまった結果ではないだろうか。これは過去20年くらいを振り返って思うことであって、当然その会社の将来も子供の将来も考慮はされていない。何より現状認識という点でも親の感覚がおかしいのに、子供が染まっていることが大きな問題で、そんな状態で仕事についてビジネスがうまくいくのだろうかと疑問に思う。
要するに家庭でも学校でも社会や時代の変化を学ぶ機会はあまりないということだろう。一般に日本は自分は何をしたいのかを少年期に考え付かない傾向があって、自己実現の目標を持たないで大人になってしまう。記事「大学卒はどこへ行く」では「毎日机に座って何かをしていると給料がもらえるものを志望しているらしい」人のことを書いた。企業としては一つの目標を共有して、一緒に苦労も担って欲しいと考えているのだろうが、企業と就業者のギャップと言うかすれ違いというのは次第に広がっている気がする。根本的には若者は自律しなければならないのだが、それには家庭や学校教育が徐々に変わっていかねばならず、気の遠い話である。
日本が直面する課題としては、もっと変化に対応できる人材が必要で、それは技術革新の主導力をもって先へ先へ進むアメリカにキャッチアップし、その市場に切り込んでいく知力と同時に、日本を追い上げて伸び盛りであるアジアと互角に戦えるタフさが求められているからだが、就職ブランドランキングを見ると実にがっかりな若者像が浮かんでくる。しかし現実には幸いなことに大手企業に行く人は限られていて、大手企業とは抵触せずにもっと自由に動き回る若い人がいるからこそ、日本はヨーロッパにひけをとらないほどIT化はできている。この自由さは大事にしていかなければならないし、このように頑張っている会社こそ、もっと日本の若い人を刺激しなければならない。むしろ危なっかしいのは自律的ではない若者を集めてしまう大手企業の方であろう。