投稿日: Oct 27, 2015 1:17:9 AM
ビジネスの世界に於いて、旧来の制度や環境が崩れていく時には、従来のようには売り上げが上がらなくなるとか、経営資源が枯渇してやっていけなくなるのだが、一方で変化の中にまだ誰も手を付けていなかったような新たなビジネスチャンスが見つけられるものであるということがいわれてきた。イノベーターといってもいいかもしれないが、時代の変わり目に業界リーダーが入れ替わっていくことは良く見受けられる。
とはいっても、ユニクロでもツタヤでも、また近年のSoftbankや楽天でも、業界の雄になるにはそれなりの期間はかかっていて、数年でイノベーションが成り立つことは滅多にない。海外でfacebookであっても5年はかかっていて、これは非常に早い方であるが、それはネットの上のビジネス世界では旧秩序がなかったからだろう。一般には、いくら革新的なビジネスを考えたとしても、あるいは商品開発をしたとしても、仕入れ先・納入先・ユーザのマインドなど、ビジネスのステークホルダーの理解が得られて、好循環ができるのに非常に時間がかかる。特に日本ではその傾向が強い。
つまり、ネットで完結して、過去が無い若者相手だけが先に進んで、それ以外はネットの時代になってもあまり急激な変化は起こっていない。確かに旧来の経営環境は壊れていくので、旧来のステークホルダを相手にして革新的なことを一緒に早急にやろうとししても失敗する。出版社に電子書籍を持ちかけるようなのも、その例である。しかし旧来のステークホルダから離れて、孤軍奮闘で新たなビジネスをするのは、たとえチャンスがそこにあるとしても、非常に忍耐深く執拗にやらなければならず、何年かで効果が出るものでもない。
とすると「変化はチャンス」とは同時に忍耐強いことが要求されるし、借金経営ではなく地道に続けられるものでなければならない。むしろ企業のポリシーとして、どうしてもこういう分野で頑張って行くのだ、という決意があるところが、ある時に時代の変化に遭遇してチャンスをつかむということになるのだろう。忍耐しながらきっと起こるべき変化を待つというのが本当のところではないだろうか。
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