投稿日: Nov 24, 2010 11:17:28 PM
来年の事業計画をたてなければならない方へ
2010年に話題になったメディアビジネスのうち、2011年に本当に社会にインパクトを与えるようになるのは何だろうか? 世界的にはすでにFacebookがインターネットの世界の中心に向かっているが、日本にいるとSNSはどうしても国産の方になじみがあって、Facebookの方がいいんだという人はあまり聞かない。いろいろ分析をすると、記事『メディアはすでに崩壊している』とか、記事『アメリカを奔る Facebookの衝撃』のように、Facebookのポテンシャルや戦略には無視できないものがある。日本の社長の児玉氏は最近Facebook紹介セミナーをされているが、具体的に日本人を取り込む秘策のようなものはまだ感じられない。これは日本の一般ユーザーの利用動向と、ビジネス面からFacebookと連携したい人の2面の動向を考えなければならないだろう。
第2の話題はスマートフォンOSのGoogleAndroidだろう。日本の電子書籍端末もAndroidベースが主になりつつある。パソコンユーザには評判がよいDellの端末や、geek御用達のDesire、バンバン宣伝されるGalaxyなど、いろんな方向に製品も応用も展開しつつある。AppleのiPhoneやiPadが一枚岩の世界であるのに対して、Androidは多様性の世界なので比較するのは難しいが、スマートフォン・タブレットの『Microsoft』のようになるという見方が多い。インストールベースでは、まずアメリカで今年に入って期間出荷がiPhoneを抜き、今は世界的にもiPhone・iPadを追い抜いている。とりわけスマートフォンのメーカーにとってはOSがタダな分だけ安く出来るというメリットで、何処も皆出荷するのでスマートフォンのデフォルトの位置を占めるだろう。日本のガラケーはどうなるのか? Androidの派生として生き残るのか? Android以外の世界を作るのか?
電子書籍は2010年が元年(何回目?)といわれ、Kindleも年末には日本語化といわれたが、まだ上陸してはいない。iPadのアプリや独自EPUBによる電子書籍は先行していて、iPad利用者にはなじみつつあるが、iPadそのものがニュースになっているほどには普及はしていないので、電子書籍の売り上げ云々を取り上げるほどの状態ではない。むしろ既存の出版業界の動向の方が大きくニュースになった一年であった。つまりビジネス的にはまだ儲かる段階ではないという論調が強くなって、ネットインフラ充実の先のアプリとしての期待や書籍のEC化や読書スタイルの変化、新人の登竜門、など以前に語られた電子書籍ロードマップは霞んでしまった感がある。果たして2011年に電子書籍は台風の目となれるのか?
マスメディアの王であるTVは、地デジの時代になっても何らの革新もみられない。これは既に死に体ではないのかということを記事『メディアはすでに崩壊している』で書いた。それに対抗するような動きとして記事『GoogleTV と AppleTV は競合か?連合か?』にあるネット経由の動画配信が始まっている。電波行政は国ごとに異なるので日本とアメリカでは全く同じようにはいかないだろうが、民放の次の時代がどうなるのかを考える上で、地デジではなくネットTVに真剣に取り組まなければならなくなった。現状のニュースではどんな番組が見れる見れないとか操作性の話に終始しているが、それらは今後何とでもなるもので、メディア業界の構造がどうなるのかという、もっと大きい問題に着目する必要があるだろう。
メディア関連事業をしている各社が2011年にたてる事業計画には、以上のようなことは織り込んでおくべきだろう。http://www.mediverse.jp/ では、MEDIVERSEキックオフイベントとして、2010年12月14日(火)に、2011年問題を大胆に語ることを計画している。
アジェンダ(予定):
・Facebookにより、コミュニケーションの構造がどう変わるか
・AndroidはiPhoneを超える驚異となるか
・電子書籍元年と言われた2010年を落ち着いて振り返る
・Google TV vs Apple TV