投稿日: Mar 23, 2010 11:2:41 PM
使えない人を雇ってしまったと嘆く方へ
大学を出て仕事を探している人の話を聞いた。今までどのようなところに就職活動をしていたのか、何をしたいかなどである。自分の若かった時のことを思い出しても、そんなに自分の人生の予定をはっきり宣言できるとは思わないのだが、希望というのは「自分の境遇」くらいの意味なのかと知って、ちょっとびっくりした。今までは公務員志望できたが、それはダメだったので事務職がしたいという。事務職とは何か? 営業はイヤ、工場はイヤ、といった消去法で残ったのが事務職らしい。毎日机に座って何かをしていると給料がもらえるものを志望しているらしい。
かつてIT化が進んでいなかった時代には、書類の山というのがあって、それを整理したり、繰り返し転記したり、探したり、問合せに応えたり、などという仕事はどこにでもあった。しかしこういう仕事を減らし、しかもスピードと精度を上げるためにOA化というのがあり、とりあえずはデータ化された。次にネットワーク化があり、人手を介さないでも必要な情報にアクセスできるよう、投資がされてきている。今はそういったデータを第一線で活用するための技術が開発されているのである。
総括すると、過去に大学出の人材が大量に必要だったのは、読み書き能力があればできる単純知的労働がいっぱいあったからで、そういったことがIT化で「セルフ」になり、しかもコンピュータは次第に意味の処理にまで入っていこうとしている。そうすると、卒業後に単純知的労働をあてにして大学進学などすると、職がないという状況は今後も続いていくと思う。
店員や電話の応対など対人的なサービスは、「ネットで調べた方がマシ」と言われてしまったら人の存在価値はない。単純知的労働でも価値を感じてもらわなければならないという点ではサービス業化せざるを得ないので、仕事に就くマインドというのも時代に合わせて変えながら若い人に伝えていくところが、どこか必要だろう。
別の視点では、やりたいことがはっきりしていると、参入の敷居は低くなっているといえる。やりたいことを試みる習慣を学生時代に身につける必要があるだろう。