投稿日: Apr 05, 2014 1:7:33 AM
ユーザインタフェースの制約
世界ではMicrosoftのOffice for iPad が話題になっているようだが、日本では発表すら未定で、全容はわからない。今までのマイクロソフト商品のように、ターゲットはHome, Small Business, Enterprise のような分け方がされるようで、それぞれに契約とか利用料金は異なる。そしてネットで無料で使える部分もある。マイクロソフトの行うクラウドサービスとも連動する。まあ今日考えてもっとも無難なビジネス形態をとっているように見える。
こういったOfficeソフト群のクラウド化がスムースにいくのかどうかは、いくつもの課題があるようにみえる。
まず課金だがiPadということでAppStore経由になるとAppleに30%をもっていかれるので、さてどういうものか? それを承知で30%近く高い値を設定すればよいわけだが、何もしないAppleに儲けさせるのが気持ちがいいはずはない。最初にアメリカでの評判をとるためと割り切れば、このようなこともあり得るだろう。
では評判はとれるのかどうかは難しいところである。マイクロソフトはタブレット・コンピューティングではAppleよりも先行していたのだが、Windows7のユーザインタフェースをタブレットに持ってこようとしてうまくいかなかった経緯がある。つまりマウス操作をタブレットに押し付けるのは成功しにくいのである。それは単に操作面を指先でするように変えれば何とかなるというものではなく、目的にかなった今までない操作法を別途発明しなければならない点が多くあるように思う。
例えばマウスでさえやり難い作業があって、キーボードを離せない業務というのは沢山ある。校正直しなどで、セミコロンをコロンに変えるとか、カンマをピリオドにするなどもそうである。こういったことをタブレット上で文字を指定して、仮想
キーボードを出して、シフトして文字を打ちかえたりするのは苦痛である。だから全く異なるアプローチを考え出さなければならない。こういうことはエクセルでも山ほどある。
ということはビジネス用途でタブレットでできる仕事は、文書を開いて読むとか、何かを単純に選ぶような受身の作業に落とし込まれた業務だけで、白紙からの新規作成とか編集およびクリエイティブな部分は今のところかなり限られると考えもいい。
つまり、タブレットはコンピュータとはいってもメディアに近い性質をもっているともいえ、タブレットを普及させるにはそこからオフィスの革新にどう役立つかを考え直すことが必要なのではないだろうか?