投稿日: Jun 13, 2014 12:57:51 AM
ビッグデータ云々の記事をみると、かつてのデータマイニングとたいして変わらない話が多い。経験に頼っていた経営をコンピュータ利用によって効率化しようとしたMIS(management information systems)というのもあった。当然ながらそういう経験を経てきた人たちが、さまざまな失望や挫折を乗り越えて、さらに今日のコンピュータやネットの環境で一皮むけたことができるようになっているのである。
逆に言うと、データマイニングやMISをやらなかった人がビッグデータ云々を叫んでも取り組んだとしても、先人たちの失望や挫折を追体験するだけではないだろうか。
こういったデータベース活用のようなものは、システムが解決する領域よりも、いかにデータを集めるか、そこから何らかの意味を読み解くか、という現場的な創意工夫の方が大事なのである。ただし集めたデータを整理して置いておくとか集計するにはシステムは必須になる。だからデータの集め方が分からないとか、そもそもデータを読む気がないといったところに、いくら上等なシステムを持ち込んだところで、投資対効果が得られないのは昔から変わっていない。
今日のビッグデータ云々が一般的に話題になるのはAmazonやeBayなどECの興隆が実際にあって、ビッグデータを扱わなければ競争に負けてしまうという危機感があるのかもしれないと思うが、例えば日本の書籍販売をみると、電子でも紙でも対抗して何かをしていると思えるところはほんの僅かしかなく、危機感をもっているのは1%あるかないかくらいに考えられる。
むしろ広告の世界で従来のスペースや時間売りのようなビジネスに限界を感じて、レスポンスに対する報酬のようなビジネスモデルに移行するために、ビッグデータ処理が使えるのではないかと考える人もいる。しかし代理店やマーケティングの会社の場合は、顧客と直接接する現場を知らないで、従来は企画制作主体にビジネスを組み立てていたところなので、ある意味ではビッグデータ処理とは最も遠いところに居るともいえる。それでもデータベース敗残組の一般企業に再度幻想を植え付けて、何がしかの費用を徴収することを始めるであろうが、すでにECで成功している会社が外部の代理店やマーケッタを利用するようにはならないであろう。
それはそういったECはすでに取引の全数のデータをリアルタイムに処理できるような仕掛けを作ってしまったからである。以前から書いているのだが、AmazonやeBayが毎月システムのアップデートをすることを何年も積み重ねて、やっとマシなオススメができるようになったことを追体験するにはやはり10年とかはかかってしまいそうだ。それはデータセンターそのものの作り方から通信システム、OSその他非常に広範なIT分野のノウハウによってできているからで、どこかのクラウドのサービスを使って処理する程度では追い付かない。
当然ながらビジネスの現場にいる者であったらAmazonやeBayと同じ様なアルゴリズムは考え付くであろうが、それを外部のサービスを使って実現しようとするとコストがかかりすぎてAmazonやeBayにはビジネスで対抗しきれないものになっているからだ。
企業の中で現場と密着してモノを考えていたマーケッタにはビッグデータ処理で何らかのチャンスがあるかもしれないが、ドブ板踏まないマーケッタの出る幕はデータベース関連ではないだろう。