投稿日: Jul 09, 2010 11:51:2 PM
大手に比べて小企業がeBookで有利になれるかと思う方へ
ベンチャー企業の定義はどこかにあるのだろうが、素人風に考えるとこの種の企業をする動機は「金になること」と「時代を創る」ことだろう。もし金儲けだけだと全企業がベンチャーでもあることになる。しかしその金儲けがこれから成長していくと考えられることが重要で、それが実績の少ない会社でも投資を呼び寄せる理由になるし、ある種の尊敬の的にもなる。実際はなかなか「時代を創る」のは難しいだろうが、近未来に対応するだけでも大変な能力・忍耐力が必要になる。
そのようなわけでベンチャーのキーワードは時代とともに変化する。最近TVでもクラウドがどうした…というCMがあるが、如何にも広告代理店が作ったような何をいいたいのかよくわからないものだった。しかしクラウドは情報ビジネス・メディアビジネスを考える際に非常に深刻なテーマである。情報やメディアの価値は何によって決まるのかに関係している。これはコンテンツそもののではないが、それを扱うビジネスが直面する課題である。今まで情報であってもモノと同じ物流でビジネスが成り立っていたのが、その比喩から自由になるように時代は向かっている。
これは情報・メディアビジネスの対象が個人であって、そこにはソーシャルメディアが大きく育った。つまりソーシャルそのものには金の流れはなくても、そこで人の意識が動いたり判断をすることが増えたことは、今までの物流の機構以上のビジネスのキーファクターになろうとしている。しかしソーシャルからどのようなビジネスのきっかけを見出すのかについては、過去はマクロな消費動向・個別サーベイ・経験と勘であったのが、クラウドで統計的な処理ができるという要素が加わった。
例えば広告の料金は過去から効果的なところが高いという体系にはなっていたと思うが、すべての広告を通して効果測定ができたわけではないし、広告主と生活者のマッチングができたわけではない。しかしGoogleのAdWordsのようなものでも、検索キーワードがオークションになって高い売り上げになるとか、ホームページとのマッチングを機械的に行うことで、効率的な広告モデルを作り出した。これらはGoogle内部のクラウドのようなものであるが、それと似たモデルがクラウドの利用でその他の会社にもやり易くなったと考えてもいい。
つまり何百万・何千万・何億という利用者のいるソーシャルメディアの中で湧いては消えていく情報からマーケティングやマーチャンダイジングを行うことは、情報ビジネス・メディアビジネスでは他のリアルビジネス以上に親和度が高い。eBookを考えてみても、制作の前半プロセスは確かに今までと違いは少ないようではあっても、後半プロセスはECなのだから、近未来にわたって売り上げを上げたければどのような新しい売り方をするかが問われているし、そこにeBookがベンチャーとして扱うべきところ、やりがい、というのがあるはずだ。