投稿日: Jun 01, 2012 12:34:28 AM
マスメディアのグラフィックス力に疑問を持つ方へ
twitterが凝縮された言葉のやり取りであるのに対して、facebookは画像の貼り付けの容易さで人気を得た面がある。通信容量の増大でビジュアルなコミュニケーションは促進されてはいるのだが、人によい印象を与えるのにビジュアルを使うことは意外に容易ではない。モバイルからの画像投稿も面白い画像がいつもあるわけではない。Skypeで会議をする場合も増えていはいるが、相手の顔が見えたところで会議にどんなプラスがあるのかと思うことがある。WebCAMによる画像の垂れ流しもあまり見られない。画像が増えてもスルーされる画像が増えるばかりではないかと思わされる。
一方でインフォグラフィックスでよいものがあるとfacebookなどによって短期間に一挙に広まる。結局は高い評価の画像しかインパクトはないようである。それはどのように生成されるのか? 事故現場とかハプニングに居合わせたようなスクープ写真は、素人が撮った場合でも埋もれてしまうことなく社会に出回るようになったことは凄い。以前は報道機関や通信社のデスクを経なければ世に出なかったからだ。このような偶発的な画像ではなく、意図的にグラフィックスで何かを表現したい場合は、やはりカメラの腕とかデザインや画力が必要になる。つまり紙かデジタル化という区別なく、ビジュアル力を高めるということをしないとメディアの効力は発揮できないことには変わりはない。
実は印刷においては多色機・スキャナ・DTP・デジカメ・CTPと、過去40年間カラー印刷が劇的にやりやすくなる方向で技術開発が進んだので印刷の利用や売り上げは伸びてきたが天井に達した。その後のグラフィックコミュニケーションを拡大するものとしてデジタルプリントとネットがあるのである。だから過去40年間のカラーグラフィックスで力をつけてきた人たちはネットでの活躍の場はあるのだが、いくら40年間カラー印刷をしていてもグラフィックス力をつけずに機械を回していただけでは今のグラフィックコミュニケーションの拡大につながる仕事は見つけ難い。という意味でもうdrupaの時代はとっくに過ぎ去っていると思う。
幸いに日本はサブカル的には大衆の中にグラフィックスに取り組む広い下地があり、萌え画でもアマチュアカメラでも大変レベルの高いものがみられる。それと既存のメディア産業との間には大きな溝があるので、メディアの側でビジュアルの革新を試みてもコケることがよくある。うまくビジネス化できたと思えるのはポケモンで、これは元祖ユルキャラであると思う。それ以外は大メディアは萌えキャラに負けているのである。高校の学園祭の手作りパンフレットなどを見ても、もう大メディアのグラフィックスの真似をしている若者はない。しかし今手作りをている若者が使うツールというのはイラレや3Dの古典的なものばかりで、便利そうなものの登場は意外にも少ない。Adobeも個人向けのビジネスは熱心ではないようで、技術先行の印刷の時代とは逆になったのである。今からだと、もっとインフォグラフィックスを作りやすい安価なソフトがあってもいいのではないかと思う。