投稿日: May 17, 2012 1:58:56 AM
精神的な自律が必要だと思う方へ
地デジ移行で強制的にテレビを売りつけたり、エコポイントで自動車販売を促進させても、それらはカンフル政策でしかなく、生活者が前倒しで購入した分だけ後で売れない時期がやってくる。経営はそういった短期のやりくりで乗り切れるものではなく、持続的に発展できるモデルを考えなければならない。eBookはそういった種類のものなのだろうか? 単に書籍販売の単価を下げるだけのものではないかとか、活字離れが起こっていて紙でも電子でも下降は同じではないか、また、著者と読者の間のビジネスをamazonがもっていってしまい国内は空洞化の恐れがある、などの意見はeBookで持続的発展をするビジネスを描けない典型である。
しかし爆発的に普及したCookPadにしても料理雑誌とか料理本に近いものであり、今までの紙コンテンツもデジタル化で一皮向ければ今まで以上に拡大する出版になるのではないかと考える方もいる。つまり出版をICT環境で再定義・再構築して紙の配本よりもリーチが広がって、アクティブでダイナミックなビジネスモデルというのを人々は描き始めている。人々というのは従来の出版界に限らず、CookPadのように他分野でも考えて模索している人がいる。そういった人々とアライアンスを組む上でも、従来の出版モデルにこだわらずに、今日的にビジネスモデルをリセットして、ミッションを明らかにしておくべきである。
過去の出版のエッセンスというのは、おそらく「Auther-Readerの循環ができて発展する」ものであると思う。映画監督になる人は若い頃に映画に感動した人であるように、本によって人生を変えられたような人が本を書いたり本作りに携わったはずである。こういった循環の周期は苦節ウン十年かかったりもするが、デジタルは出版プロセスを可視化するので、その循環を早めるとか、評価しやすくするとか、出版リスクを減らす方向に向かうはずである。だからこそ今まで以上にリスクの限界まで迫るような冒険的アクティブでダイナミックな状況が出版のまわりにできて、ゲームや動画などと競い合うということにもなろう。
独断と偏見的に言えば、出版とはAuther-Readerを結びつけるソリューションの提供であって、Autherとレベニューシェアするモデルで、作品を世に送り出すソリューションは何であってもよいはずだ。高齢者が大型テレビに小説を拡大表示して読みたいといったなら、それもしてあげるのがミッションではないかと思う。これは個人的見解なので人には押し付けないが、要するに出版をしようと考える人は、それぞれ自分なりにミッションなり、Auther-Readerの間の自分の立ち位置なりを問い直すということをなしに、流動的なデジタルメディアと付き合っても振りまわされるだけだろう。
3月4月にデジタル編集・制作に関した研究会をE-Book2.0 Forumと共催し、出版が今日の通常のビジネスの形になって先に進むためのに見直す要素というのを考え始めている。だいたい3ヶ月を単位として、1期でビジネスの諸要素、2期でコンテンツ、3期で知的インフラ、4期でビジネスモデル、というくくりの月例研究会を企画中である。