投稿日: May 07, 2013 1:19:45 AM
プロは何が違うかと思う方へ
日本のモノつくり力に関する話でヌケているのは組織的管理方法であり、どうしても個人の発案とか努力など、わざわざ継承し難いものに焦点をあてていて、結局は何年経っても同じようなことを繰り返し語っている。これは「匠--すげ~」という雰囲気に浸っていたいからなのだろうが、実際には高品質のものを生み出すには高い管理水準がある。それもちゃんと知識として継承されている。電化製品などは何十年の歴史しかないが、酒蔵などはずっと歴史があり、そこでは米作りから全工程が明らかにされている。農産物もそういったノウハウの塊で、誰か特定個人だけが出来るものではなく継承されているからこそビジネスとして成り立っているのだろう。
電気屋さんにも社内にはいろいろなノウハウが溜まったのだろうが、私がアルバイトをしていた時に受けた感覚では、新たな設備投資をする方がノウハウ継承よりも重視されたように思える。それではアジア諸国に工場が移っていくのも仕方ないだろう。何とか今のうちに明文化されていないノウハウを書き残すことをしたほうがよいように思う。
その昔NECの9801でも何十万円もした時代に、ビンボーな会社ではなかなか1人1台を支給することができず、またしょっちゅう新しいものに買い換えることができず、しかもいろいろなトラブルを潜り抜けながら運営せざるを得ない時代があった。1人1台化のためには中古も使うとか、買い替え対策としては部品のアップグレードとか、トラブル対策としてはデータのバックアップとか修理ということを日常行っていた。その経験は今でも役に立っている。
時代が変わってネットワークでストレージができるようになると、まるでハードウェアは永遠の寿命があるように思う人が出てくる。近年サーバホスティング会社がトラブルを起こしたことがあったが、やはりネットを使おうがタブレットを使おうが、基本的には今でも以前と同じハードのリスクを負っている。それを忘れてしまうと、いつか事故で大変な目に遭うことになろう。
今パソコン雑誌は激減してしまいコンピュータの構成要素の基本知識を書いたものは無くなってしまって、うちの子供もパソコンのメモリの取替えはできても、なぜ端子が沢山あるのかとか、メモリに関するパラメータがどんな意味なのかは知らない。これは自動車の仕組みは知らないが運転はできるといったコモディティ化がコンピュータで進んだからだ。
かつての職場ではパソコントラブルは最初にレポートを書いてもらって、それからチェック・回復をしてまたレポートに書くということを3年間くらい綿密に行って統計を取ったことがある。そこからコンピュータの予防保全のために気にしなければならないこと、気にしなくてもいいことというのがでてくるので、それを整理しつつある。ハードの知識とあわせて大まかには次のようになるのではないかと思う。
故障箇所と故障発生率
1.パソコン構成要素
CPU MB メモリ HDD他記録デバイス I/O(USB) 電源 コネクタ類 配線 ファン ケース
2.動作
静的 動的(タイミング キャッシング)
3.構造
デスクトップ ノート タブレット サーバー
4.冗長技術
パリティ CRC RAID リトライ
5.モニタ
インタフェース バックライト
6.ネットワーク機器
配線 ハブ ルータ
7.トラブルシューティング
8.日常管理方法
コンピュータメーカーにはそれぞれ品質管理の基準があるのだろうが、実際の製品をみているとメーカーごとにかなり基準が異なるようだ。例えば換気の悪い位置に置いた場合のトラブル発生は機種によって差がある。だから利用者が利用環境の基準を作って対処する必要があると思う。
今はコンピュータのハードウェアの変化のスピードが落ちてきたので、新CPUよりは予防保全の方が重要な時代になるのではないだろうか。