投稿日: Jan 14, 2011 11:19:26 PM
クーポンの限界を感じる方へ
あわれな居酒屋がO窪にあって、ハゲタカのような近所の主婦に喰い散らかされている。店が時間帯割引や格安の目玉料理を出したり、つきだしのサービスをしても、聞きつけて買い物の途中に居酒屋に寄るなど、それだけ目当てで外の物には金を払わず帰ってしまう。こんなカモられている店がもし共同購入型クーポンをやったとしても効果はなくキズを広げるだろう。クーポンは魔法ではなく、お店の実力を越えたりはしない。
クーポンによる割引キャンペーンのよいところは、広告媒体費や印刷制作費が少なく、その分を顧客還元にまわせることで、店と顧客の結びつきにおいては効率がよいはずのものである。これはフリーペーパーの「ホットペッパー」や「ぱど」、またグルーポンでも同じで、販促予算を割引に当てるので他の販促はできにくくなる。だから有効な販促が思い浮かばない時に単なる値引きをするという悪循環とか中毒化が起こるおそれがある。O窪の居酒屋ならそうなりそうだ。
ネットでの共同購入型クーポンの特徴は話題性にあり、Webサイトをチェックしてまわる積極的な生活者の行動パターンにはまって口コミ効果も期待できる。大幅な割引が数量限定で早い者順であるような希少性が、急がないと、というあおりにもなる。例え100人で成立の場合でも、気に留めたひとは1万人以上になるだろうから、商品は原価割れでも現金支出は少なくてもできる効率的な広告といえるかもしれない。しかしクーポンで得た反応をどのように引き継いで、潜在顧客を次のステップに引き上げていくのかを考えていなければ、時間とともに元の黙阿弥になってしまう。クーポンはあくまで販促の一部であって、クロスメディア的な視点が重要である。
共同購入型クーポンには、ネットの口コミを使えるというメリットとまったく同じことから限界も明らかで、オセチの件のようなマイナス評価も広がりやすい。クーポンサイトは店のチェックをちゃんとしなければ、クーポンサイト自身の評価も落ちてしまうだろう。むしろネットの情報拡散力を使って新規開拓がしたいのであるならば、人々が何に着目しているかに焦点を合わせて、いろいろ試行するのに共同購入型クーポンは向いていて、情報の拡散をソーシャルメディアなどで追跡することで、テストマーケティングを敏速に行えるだろう。商品やサービスに何も特徴がないならば、こういったマーケティングの余地はなく、販促会社やハゲタカ顧客の餌食になるだけだろう。