投稿日: Jul 24, 2012 1:3:13 AM
ネットを良い方向に活かしたい方へ
イチローがマリナーズからヤンキーズに移籍するというニュースが朝の7:30分頃に流れて、その段階で「イチロー」関連の日本語tweetは英語の mlb.mlb.com に載った発表に反応したり、アメリカの野球関係tweetのリトゥイートで、数件しかなかった。その後8時からイチローの記者会見があるとの話が出て、次第に日本語tweetが増えていった。それでも10分で100件くらいだった。8時になって民報TVがイチローの会見を中継するようになると、何百のtweetが始まった。この場合はtweetがtweetを起こすのではなく、マスメディアに触発されたtweetがほとんどだ。つまりある時点で人々がどのような情報に注目をしているのかをモニターすることができるようになっている。マスコミ業界、とりわけTV業界にとっては視聴率以上に気にすべきものにネット上の反応はなってきた。
しかしそういった反応を踏まえてTV番組なりをダイナミックに変革していくようにはなっていない。TV局側は特にナマ番組が少ないとか、ネット対応以前に過去のニュースアーカイブや、ニュースの裏づけ資料の検索システムなどが縦横に使えるようになっていないので、口先だけのコメントしかナマ番組で流せないからである。局外のコメンテーターと契約しておいてSkypeのようなもので参加してもらうことも可能な時代だが、番組の作り方が根本的に変わるようなところには至っていない。私はスマートTVで視聴がどうなるというのとは別に、TVコンテンツそのものがこれからどうなるのかということに非常に興味を持っているが、なかなかTV側の人からの意見は得られない。
ネットの利用者側も現状では2chのように稀に良い事が書かれていてもほとんどはノイズであったり、逆にトンデモな誤情報が野放しになっていると、邪魔なメディアになったりもする。これは国民的なリテラシーの問題で、アメリカのジャーナリズムでも炎上はあるものの、たいていのニュースにはコメント欄があって、多くの感想や補助情報が書き込まれるような使い方がされている。この仕組みを日本や韓国に持ち込めないのは、情報の発信側と受信側にジャーナリズムのあり方についての共通の理解がないからである。しかし日本人がこういったソーシャルな利用ができないといっているわけではなく、時々の炎上はうまく治めながらもメディアのあるべき姿に向かってコツコツ努力していくしか方法はないと思う。
これらのことは実は企業がソーシャルメディアを利用する場合も全く同じで、実態としての企業人と顧客のリテラシーの薄さをカバーするだけの努力が必要になる。それはマーケティング的に言えば企業側がホスピタリティを発揮する場としてソーシャルメディアを使うということである。リアル店舗の店員さんは客から挙動を見られているし、いろんな問い合わせに受け答えしなければならないから、身なり・言葉使い・商品知識などはそれなりもものが必要になる。これがネットになったら良い店員さんに相当するものをネットの受け側に用意しないと、ソーシャルメディア対応はできない。これはインターナル・マーケティングであることを以前に書いたが、そこができる企業には大きなチャンスがきっとあると思う。
関連情報 2012年7月25日(水) 『出版のマーケティングを見直す 復刊ドットコム』