投稿日: Mar 17, 2010 8:59:5 AM
どうして電子書籍はかくもプロローグが長いのかと思う方へ
よく出版界は出版社と書籍流通と書店は三位一体であるといわれた。考えてみればあたりまえで、この3つのどれかが欠けては出版ビジネスは成り立たない。しかし三位一体の別の意味は「もたれあい」である。書籍がどんどん売れている時には、自分の担当のところだけを一生懸命やっておれば、全体としてビジネスが大きくなる仕組みであった。
しかし出版ビジネスがシュリンクしはじめると、出版社は自分の出版物にふさわしい流通ルートや読者を探さないといけなくなる。だから大学生協ルートやコンビニルートというものが大きく伸びた。これは伝統的三位一体を崩した例である。Tutayaさんも日販を通してはいるものの、独自の配本をしてもらうように書店に自主性をもたせ、その効果は上がっている。要するに伝統的三位一体ではなく、自分以外の二位にまで食い込んだ努力をしたところが成果を出した。
出版界からは仲間と思われていなかった情報誌も自分で三位一体をしていた。今は翳ったもののR25のように配布場所の工夫まですることで、大変な評価を得たものもあった。電子書籍もケータイ小説のように、ネット上で三位一体をしてしまったものはブレイクした。
こう考えると、三位一体という名の「もたれあい」で、他人任せが多い中では、まだレールの敷かれていない電子書籍のビジネスが前に進み難いことは自明だろう。三位一体とはまさに新たな出版モデルに挑戦する自分が考えるべき領域なのである。