投稿日: Apr 01, 2016 1:39:31 AM
ネットの広告というのは、単純なバナーではなく運用型といわれるデータ処理を伴うものが伸びていて、データ処理を行うプラットフォームのビジネスに広告もなって、アナログ時代のビジュアルを主体とした企画制作ビジネスとは大きく異なることを、記事『広告と印刷の乖離』に書いた。AdTechという広告の技術革新がある一方で、2013年頃からクライアントサイドで広告をブロックするソフトの使用率が高まってきたとBIが伝えていた。平均すると2割くらいがブロックされていて、ブロック度合いは利用分野で異なる。
広告ブロックはPCデスクトップ分野から広まったのだが、もれがスマホに及ぶとどれくらい広告業界のダメージがあるかという試算もある。広告課金がクリックとかエンゲージメントとか成果報酬とかに比重を移していけば、アナログメディアのような総露出数の多少を云々する必要は無くなるので、直接ブロックされるパーセントがビジネスには関係しないかもしれないが、生活者の習性として広告ブロックが根付いていくことを広告業界は良くは思わないだろう。
しかし生活者からすると広告を排除したメディアのほうがすっきりしていて歓迎される分野はある。もっとも多くのアクセスがあるかもしれないGoogleの検索画面も広告を入れない方針だが、利用者にとって目的指向の場合は、どうせほとんどの広告はスルーされるだろうから、広告メディアとしての価値は低いとみるか、あるいは広告が目的の邪魔をするという考えもあるだろう。
ではあらゆるメディアが広告モデルを捨てるということになるのか? 面白い広告、話題を振りまく広告などもある。これらはクリエイトという面では娯楽としての広告であって、これはこれでひとつのコンテンツになっている。ただ話題のコンテンツになっていても販促効果は実際にあるのかどうか疑わしい場合もある。
またコンテンツマーケティングのためのオウンドメディアのように、企業が有益な情報提供をするものも、広告でもある。かつて企業はPR誌のようなものを良く作っていたが、無料でも中身の濃いものでファンの多いものもあった。その分野は次第に紙離れしてWebに変わっていったように思う。PR誌の場合は効果測定等はしていなかった。
このように広告ブロックの対象になりにくいものもあるが、エンタメ性とか顧客サポートといった性質が強い広告は、雑誌やテレビとは異なる広告モデルだろうから、今までの料金設定などはあてはめにくく、新たな分野として取り組む必要があるだろう。
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