投稿日: Jul 28, 2012 1:15:44 AM
TVがスルーされつつあると思う方へ
以前に4k映像とかデジタルシネマを調べた時に、カラオケのような場所にオンデマンド映像を流してミニシアターのようにする話を聞いた。これは北欧からの要望で、冬に室内に閉じこもってしまうと、人はネガティブな思考になって自殺につながるのを、生活の場の近くで仲間が集まって交流することで防げる、ということで若者に話題になる映像配信をするニーズがあるというのだ。自殺云々は別にしても人が集まって映像を見ることは増えていて、スポーツ放映でも劇場などの大画面に映してみんなで応援するようなことは定着しつつある。逆の見方をすると、人の集まるところには必ず大画面が備えられているようになってきた。
そして今、ネットでの映像の配信が各家庭にも及ぶようになりつつある中で、高品質画像の配信をビジネス化することも始まりつつある。おそらくスポーツと音楽はそういった楽しみ方が今後は大きな流れになるであろう。日本は音楽CDが異常に売れているが世界的にはすっかりLP時代に戻ったくらいの売上げになってしまったので、日本も市場は3分の1くらいにはなってしまうだろう。しかし世界的にライブ音楽は伸びていて音楽産業のあり方が変わりつつあることがわかる。ところがライブは参加できる人数に限度があり、ライブ映像をビデオ撮りしてあわよくばDVDで売ろうとうことになるが、どうせビデオカメラで撮るのならばネットでライブ配信のビジネスを試みる段階にきている。例えばライブ・ビューイング・ジャパンは、GLAYが7月28日・29日の2日間にわたり大阪・長居スタジアムにて開催する「GLAY STADIUM LIVE 2012 THE SUITE ROOM in OSAKA NAGAI STADIUM supported by Glico」の模様を北海道から沖縄まで全国71の劇場と、台湾、香港、韓国の8映画館へ中継する。チケットは3500円である。
さらにカラオケボックスとも連携の準備をしていて、おそらく料金は映画館よりは安くなるのあろうが、ひとと一緒にコンテンツを楽しむというパターンはビジネスになりつつある。これは例えビデオレンタルがオンライン化して自宅でいつでもできるようになったとしても、一人で見ているのでは盛り上がらないものがあるわけで、ライブハウスに限らずいろんなお店で大画面によるショウがサービスに組み入れられるようになると考えられる。例えばアパレルの店なら、何々コレクションというのを同時中継するとか、世界的にコンテンツの配信がビジネス化するはずだ。
つまり従来は「人が足を運ぶ」リアルか、あるいはTV番組とかネットでの情報伝達による個別視聴というように、2極化して考えていたメディアの世界が、「人が足を運ぶ」ことと情報伝達を組み合わせたようなリアルのメディア化のようなことが加わるといえる。これはデジタルサイネージのリベンジにもつながる用途であろう。今のデジタルサイネージの多くはマスメディアのCF的コンテンツを繰り返し垂れ流しているだけで、何らかの対象に関心をもってその場に居合わせた人からみると浮いた情報になってしまう。人が関心をもつのはCFのようにクリエイトされたものよりも、臨場感のあるコンテンツであることは、TV通販のインフォマーシャルとか実演販売を考えても明らかである。そんなライブ性をもったデジタルメディアに大きな可能性があるように思える。