投稿日: May 17, 2010 12:26:7 AM
iPadが世界を支配すると考える方へ
中国から帰って次第にAppleのことがオーバーラップしてアタマに浮かぶようになった。北京というと天安門事件も思い浮かぶが、そのもっと前の文化大革命のニュースの記憶がある。その内容は別にして、光景としては文化大革命万歳! 毛沢東万歳!という文字がいろいろなところに掲げられいて、私はその力強い書体に関心があった。当時日本の大学の門にも大きな字のタテ看板が幾つもあったものだが、「文化大革命書体」は非常によくできたものであると思った。日本でも毛沢東主義の学生の看板は似たものがあった。しかしこういった書体は今の北京の市中では毛沢東像とともに消されてしまった。わずかに周辺の村に残った、http://bit.ly/9Pyf3P のようなものが観光スポット化している。
1980年代後半になって、日本で写植の爛熟とDTPの黎明の時期になった。その時に水井正氏のデザインするナウ書体が爆発的に流行ったのだが、私には「ナウ」ではなく文化大革命の「ゼン=then」に見えた。水井正氏に意図はなかったとは思うが、中国では次第に隠されていったフォントデザインと似たものが資本主義の日本で開花していったことは不思議な感覚だった。赤い大きな文字で看板を書いていた紅衛兵の誰が、自分たちのやっていることが資本主義国で金になると考えただろうか?
Appleに話を戻すと、AppleストアではiPadのeBookとともに文化の粛清の真っ最中である。でも生活者はこれが唯一ではなく、他にもいろんな情報の選択肢はあるので、被害を被る人はいない。今までのネットで見られるものがたとえiPadで見れないとしても、何の問題もないのだから、Steve Jobs は自分の思い道理にしたらいいと思う。粛清でも何でも、他のどこでもやっていないことをするのがいい。しかし尖がって突っ走ったら、必ずビジネスというものは成功するとはいえないのだ。しかしそこにかけた情熱は、全然違うところで、いつか開花するかもしれない。