投稿日: Dec 03, 2012 12:38:53 AM
フォレスターの記事”Digital Disruption Is A Bigger Deal Than You Think”が震源かと思うが、Digital disruptionが再び話題になって、いろんな方面で書き込みが続いている。この種の話題は初耳ではないが、考えられているよりももっと凄いことが起ころうとしているという注意喚起が増えているのだ。上記記事ではすでに経営者の9割はデジタルで業界構造が変わると思っているが、そのことで何らかの措置をとり戦略対応しているところは4割しかないといい、結局は今のビジネスの半分はどうしていいかわからない状態である。
ところでここで問題としているデジタルとは、ビッグデータやクラウドなどが発展のことで、それにつれて無料サービスや無料toolをベースにしたものが増えるという、フリーミアムのようなものが既存のビジネスプロセスを崩壊させるという話で、クリスアンダーソンのフリーミアムの影の部分というか本質というか、フリーミアムを脅威として捉えて、それにどう対抗・対応していくかがなければ、大津波に飲み込まれて消えてしまうというような話である。
こういったことは、ネット対リアルという場合に限らず、リアルワールドの製造業でもあてはまるし、すでにネットでビジネスをしているとことにも当てはまる。記事『足元を確かめる』で日本のヤフオクとeBayを比べるようなことをたびたび書いているが、ヤフオクが日本のドメスティックな特性に合わせたシステム作りをしている間に、eBayのシステムとりわけビッグデータに関するところは赤子と大人ほどのひらきになってしまった。
これも以前に書いたが、ヤフオクにビッドして入手できなかったものに対するデータ処理が全く貧弱で、若干似た製品をお奨めするだけなのに対して、eBayは個人の全利用記録から、同じ商品をビッドした人々の特性から、商品間の相関をクロスセル・アップセルにちゃんと分類した処理から、……さまざまな解析を通して、パーソナライズさせていこうとか、またAmazonよりも商品相関を深堀しよう、という開発がこの10年弛まなく行われてきた。
ヤフオクは人がビッドして買い逃した場合の残念さを埋め合わせるようなサービスを開発してこなかった。オークションは満足を得る人は1人しか居なくて、他の人はがっかりしている。そこに助け舟とか代替案を出すサービスこそ広がりが生まれる。オイシイもので釣るというだけでは、人々のがっかりを積み重ねるだけになるからだ。だからデジタルデータの処理はリアルビジネスを超えることができるのである。
つまりDigital disruptionに対抗して生き残る方法は、デジタルをフルに使いながら、そのビジネスの本質を追求して改善していくことでしかないのだろう。