投稿日: Dec 27, 2013 1:45:57 AM
ネット上には登竜門が作り難い
無名の孤独なクリエータを評価してどこかのジャンルに位置づける評価の必要性を、記事『創作とマーケティング(1)』を書いた。新人さんにとっては自分のオリジナリティを正面に掲げるよりも、コンテンツのジャンルわけの中でどこに位置するのかを明確にした方が評価されやすいことでもある。そのようなことは昔から行われていて、民謡コンテストのようなものがあると定番の歌を新人が歌うようなもので、それを漫画とか小説に置き換えると定番ストーリーのリメイクのようなものが考えられる。稀にそういった懸賞のコンテストがあったりしたが、新人発掘のマーケティングはもっといろいろ工夫できるように思う。
漫画やラノベのようにクリエータを指向する裾野の層が十分に広い場合は、いわゆる登竜門を沢山作ればよいわけだし、それは雑多にいろいろあるというよりは、もっと重層的に関連付けた取り組みとか取り扱いが必要だ。
私が集めている1960年代頃のアメリカの音楽事情(主として黒人大衆音楽)では、クリエータの居る生活圏とかローカルなど身近なところから活動を広げていけるようになっていたことを、記事『コンテンツを生み出す土壌』で書いたが、ネットの時代になると地域という拠点だけではなく、コミケのサークルのような場がもっと出てきてクリエータが活躍しやすくなるかと思った。
しかし実際には個人blogで作品を陳列する人は増えても、それらが横につながるとか、重層化するとかはなかなか見られない。アメリカはMySpaceとかCDbabyとか個人がコンテンツを並べたものを見やすく分類するサービスも盛んだが、なぜか日本はそういた点はあまり活発化していない。
おそらくかつての出版社が儲かっていたような時代だったら、新人賞向け登竜門雑誌をだしたように、いろんな登竜門に投資も出来たのだろうが、今は既存のメディア企業ではないところが仕掛けなければ実現しない時代になったのだろう。
マンガの場合は書店やコンビニでの立ち読みができ難くなる分だけ、ネットでマンガに親しむ機会を増やそうとマンガボックスのような無料サービスが始まっている。こういったものと同列にコミケのサークルなどもネットに登場させてあげれば、登竜門としてよいことのように思える。
音楽においても本当なら音楽教室とかライブハウスのようなレベルでネットとつながっていればよいのだろう。
しかしネットの方が2次創作・リミックス・カバーなどの縛りが強いために、無名の人が顔を出し難くなっていて、新人マーケティングの障害になっている様に思える。