投稿日: Jan 28, 2013 12:51:36 AM
「お金は後からついて来る」と思う方へ
文章を書くのでも、ビジュアルなクリエイティブでも、コンピュータプログラムでも、会社の経営を支えるためにするものと、個人の精神活動として行うものがある。両者は付かず離れずの関係で、会社は金を産むコンテンツなり作家を探し回っているだろうし、個人は出来ることなら作品からの収益を増やしたいと思っている。両者を結びつける契約や権利関係というのがいろいろあるのだが、それらはビジネス上で金銭関係を明確にする上では必須であっても、個人の側からはあまりそこにこだわると創作の制約とか意欲低下になって、契約や権利関係は、いやらしいもの、いまわしいもの、と思われることもある。
しかしそれらを無視して路上パフォーマンスをのようなことばかりするわけにもいかないだろう。ネットの仕組みとしてもコンテンツビジネスをしようという会社側の考えるモデルと、クリエータ個人の立場に立ったネット上の試みは、全然相容れずに平行線であるようで、特に日本はCCの採用などから見てもアメリカよりも堅苦しいことになって、ネットがクリエータを育てるというようには機能していないように思える。しかし新しいクリエータが意欲的に仕事をする場を作らなければ、ネットのコンテンツビジネスは発展しないはずだ。
契約や権利関係に縛られない創作活動は部分的には存在していて、しかもそれなりに認知されてお金のやり取りもできたのが、パソコンソフトのシェアウェア、コミケの「サークル」、デザインフェスタ、などで、その元祖にあたるのが路上の大道芸やパフォーマンスの投げ銭だろう。音楽のライブを録音・録画してネットでダウンロードしてもらって、投げ銭形式の課金・決済をするようなことは行われている。大抵は0円からなので無料ダウンロードも多いはずであるが、会社がプロモーションのために行うフリーミアムとの違いは、個人が結構儲かってしまうこともあることだ。
これら投げ銭式の課金・決済は売り上げに期待をかけたり依存したりはできないもので、「お金は後からついて来る」と信じて長期的に取り組むべきものである。クリエータの死後に認められる作品だって珍しくはない。eBookで自主出版というのは、こういったフリーカルチャの中に出版の「ある部分」も入りつつある現象といえる。フリーカルチャが音楽業界や出版、ソフトウェア産業の主流には成り得ないとは思うが、かなりの部分を占めるようになるだろうし、それによって新たなクリエータが世に出ることによって、ビジネスベースのコンテンツ産業も一皮向けるはずである。日本よりも海外のほうがフリーカルチャが進んでいることからすると、日本の既存のコンテンツを海外展開させるよりも、海外にも通じる人をこれから発掘・育成する方がよいだろう。