投稿日: Sep 08, 2011 10:37:2 PM
開発目標が次第に小さくなっていると思う方へ
任天堂がやばいという。Willはヒットであったが、大げさな開発を要するゲームが世界に君臨する時代ではなくなるという。ソーシャルゲームやスマホなど開発規模の小さいゲームに人々が時間を費やすことが増えている。ゲームの世界は時々素朴なものがはやったりするように、本質的には高度であればよいというものではない。ただゲームを楽しむITの仕掛けに高度なテクノロジーを求められた時代があったということだろう。それはマンマシン・インタフェース/ユーザ・インタフェースの世界であるが、幼稚園の子供でもスマホを弄る時代になったのだから、1970年代にXeroxのPaloAlto研究所が夢に描いたようなことは実現してしまって、その先の共通の目標が見えない段階に入っているといえる。
今の開発の焦点はスマホやタブレットのアプリなのであろうが、PCの時代よりも開発キットは整備され(あるいは限定されているといった方がよい)、タダもしくは廉価になっているので、参入はしやすい。AppStoreにこれだけたくさんのソフトがあるとはいっても、もとよりスマホ・タブレットは機能が限定されているので、限られた範囲の開発しかできない。そこで競い合うので、ユニークといえばユニークだが、大胆なものは次第になくなる。何しろ達磨さんのようなスマホ・タブレットの枠組みを超えたシステムは組めないのだから。そうするとスマホ・タブレットだけを開発対象にしていると、元々クローズドなゲーム機と競合するくらいしか伸び代はないかも知れない。
モバイルの位置情報を使うアプリ開発が多いが、喫煙場所を探すのも、おしめ交換できるトイレも、授乳場所も、何らか公衆の面前では行い難いことをするための共通の場所探しが、それぞれ個別に行われている。しかもみんなGoogleMap上に表示をする。それであればそれぞれの用途をデータの塊として扱えば、仕組みとしてはプラットホームで実現できるようになるのではないか? 要するにクラウドの時代ならば、クラウドにデータやルールを設定すれば、あとは通信で操作と表示に結び付けてやればよいはずで、これはゲームもユビキタスなアプリも同じである。
結局はスマホ・タブレットはマンマシン・インタフェース/ユーザ・インタフェースだけのデバイスとなって、ダウンロードして実行するようなアプリはだんだん不要になり、ソフトウェア開発もサーバ・クラウドに比重が行くはずだ。だから今までのユーザインタフェースと一体になったソフト開発のやり方は長くは続かず、モバイルも究極はシンクライアント化に進むのではないか。
ソフトウェア開発のビジネスとしては、デバイスによって何かを実現するというよりは、人々が浮かんだアイディアを、データやルールのモデルにして、それらをシミュレーションするツールとかフレームワークを作ることになるだろう。これは日本が電卓や電子辞書などガジェットそのものを個別に開発していたのに対して、アメリカはガジェットを開発する仕組みを開発したことに例えられる。例えば子供にゲームが与えられなかった時代においても、子供は自分たちでゲームを編み出していたのである。1970年代のアランケイが今目標を立てるとすると、「子供がゲームを開発できる環境を与える」となるかもしれない。