投稿日: Aug 22, 2010 11:25:28 PM
ネットにからんだビジネスを考える人へ
マスメディアでも小さなネットビジネスが採り上げられることがあるが、なぜネットで始めるのかわからないものも多い。例えば詐欺まがいのこともよく耳にするドロップシッピングがある。単に時流に乗るつもりでネットを始めて、一発当てようというのは安易過ぎるし、もし万一うまくいったとしても、その後のネットの激しい変化にどうやって対応していけるのか。特定のニッチ市場をもっていたとしても、直接ネットを使ってビジネスする以上は技術変化には追随しなければならない。自社サイト、モール、Blog、アフィリエイト、SNS、Twitter、クーポンなどいろんなテーマが出てくる。それは可能か?そして何よりも、多くのビジネスはネット上で市場が一巡すると伸び悩むが、経営の継続的な発展はネットの上でうまくいくのか?
ネット上での紆余曲折があると、やっぱり店を持っていればよかったとか、既存の流通機構に流すのがよいかとか、マスメディアをもっと使うべきだった、などの経営指針の揺れがでがちであるが、ネットを使うよりも他の手段でビジネスをした方がいいと考えるならば、そもそもあまりネットに入れ込まない方がよい。逆に自分のビジネスの発展をネットに賭けて全精力を注いでネット対応に邁進する会社がネット上で伸びてきたのであって、そういった会社と互角に組んで切磋琢磨する気がなければ、ネット上では負け組になるのは火を見るよりも明らかだ。
ネットのビジネスが既存のビジネスよりも伸びるであろうと考える人は、ネット上なら売り手と買い手のよい関係が築いていけると考える人である。しかし世間ではネットは怪しいとか問題が多いと考える「Net悪説」の人もいる。改正薬事法のようにネットビジネスに横槍が入る事もしばしばである。それでもネットがリアルビジネス以上のパフォーマンスを発揮すると信じる人がいるからこそ、Googleが伸びたりクラウドに巨大投資がされるようになったのである。ところがこれは主にアメリカの話であって、Amazonが紙の本よりもeBookの方が大きくなると発言するような、リアルビジネス以上のことが起こりつつあると考える人は日本やヨーロッパではまだ少ないのではないか。
アメリカは民主主義の国を自負していて、Wikiなどを産んだラジカルトラストの考え方があるように、コミュニケーションが活発化したほうが社会的には良いということがビジネスにも適用されている。だから今までビジネスにおけるコミュニケーションというのは広告が第一であったのが、スターバックスをお友達にする人が1000万人とか、マスコミよりもソーシャルメディアの方が多くの人と接触できるとなると、そちらに傾注することになる。メディアに対する評価という視点で考えると、ソーシャルメディアの方が恣意的なコントロールが少ないことで、フェアな情報と考えられるのであろう。
この30年間ほどに起こった、コンピュータのダウンサイジングやユビキタス化という流れの中で、ネットのメディアは、●センタDB時代(キャプテン、ミニテルなど)、●草の根時代(パソコン通信、ローカルホスト)、●インターネット時代(ワールドワイドな一枚岩、P2P)、というように次第にフラットなコミュニケーションが主流になった。この流れは非可逆なので、それがもたらす社会的効用の上にビジネスを再構築するようになりつつある。このコミュニケーションのフラット化が人類にとって良いことであり、この社会変化が自分のビジネスの追い風になると信じる「Net善説」がeBusinessに方向を切り替えるか変えないかの踏み絵になっているともいえる。
(この項続く)Net善説 その2