投稿日: Feb 02, 2013 1:26:39 AM
日本の音楽産業に欠けていたもの
子供の頃はラジオの何々盤アワーというのを徹底的に追いかけて聴いていた。それとTVのシャボンダマホリデーが楽しみだった。この番組はザピーナッツとクレージーキャットで有名だが、もうひとつ魅かれていたのはスマイリー小原というバンド指揮者と歌のバックのダンサーだった。やはりTVのようなビジュアルなメディアは、より楽しめる感じがしたが、当時は踊り不要論とか、特に男性がくねくね踊るのはイカガなものか、という批判もあった。YouTubeの時代になってこの番組の手本となったようなアメリカのTV番組が沢山アップされて見ることができるようになった。中でもSHINDIG!は日本では放映されなかったと思うが、もっともHOTな番組だった。なぜ覚えているかというと、当時同名の音楽雑誌が出されていて日本の洋書屋でも立ち読みでき、映像も見たいなあと切望していたからである。
後にBeatとかSoulTrainという番組は日本でも深夜に放映されてTVにかじりついて見ていた。これらは対象が少しずつ異なるものの、共通しているのは歌と踊りがセットであるということだ。しかもそれはTV番組というメディアの制作だからではなくて、メディアのない頃の音楽興行で元々そうであったことが、YouTubeのTina Turner Opening Actで垣間見ることができる。そもそもこういった大衆向け音楽興行のポスターを見ると、Show and Dance とか Concert and Dance というようにステージと一体になってダンスするようなことを狙ったもので、今は理解できるだろうが、昔の日本にはあまりなかった(進駐軍キャンプを除いて)スタイルである。
上の資料では Billie Holiday でもShow and Dance になっているように、実際にレコードで聞く歌手の印象とライブの様子は異なっているようで、曲目もライブはかなり異なるのが普通だ。つまり、ある世代が共有する音楽というのがあって、異なるライブで歌手が異なっても、同じような曲を歌って踊るということがされてきた。この音楽共有と今日の著作権とは相容れない要素があるために、昔のライブを今日の商品にしようと思うと結構面倒になるのではないかと思う。
AKB云々のCD発売が握手権で嵩上げしていて不正だとか、音楽的に云々という批評があるが、韓流アイドルも同じで、ショウあるいはエンタメとして考えると面白ければ何をやってもよく、むしろ音楽評価など持ち出す方がヤボである。几帳面に権利処理してCDを作って売れた数を数えることがエンタメのビジネスではなく、メディアを経由した音楽を契機として音楽のエクスペリエンスをウリにするようなことが原点であろう。
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