投稿日: Jan 06, 2012 12:29:19 AM
一人ひとりは能力があっても組織が機能しないと思う方へ
年末年始でまとまって総括とか抱負を語るベンチャー社長がいたが、それらの会社はそれなりの実績を上げている。Steve Jobs を始めアメリカのシリコンバレーの創業者たちは大きなビジョンを持っていたものの、その時その時の目標に向かって全力で走りながら次の手を考え、現場を歩き回りながら競争力を考え、exitに至るまでギリギリの経営をすることで、最大効果を発揮しようとする。経営者の成果とは四半期とか年度という期間あたりの進捗度合いのようなもので、ドッグイヤーに向いた経営のやり方をしていたことになる。日本ではまだ株主への報告がシビアに経営に影響するところはあまりないのかもしれないが、年末年始の総括をしている経営者はドッグイヤーにもついていけそうだと思った。
つまり走りながら考えるには、あらかじめ心の臨戦態勢のようなものを用意する必要があるということだろう。それは他人の意向やビジネスの諸条件とは別次元のもので、走っている間にそれらの身に振りかかる諸々の事柄をさばいていくためには重要なことだ。そういったピリピリした経営者は大企業のサラリーマン社長や既存メディア企業には感じられないことが多く、年頭所感とか各新聞の主幹の記事などもニュースの寄せ集めでしかないことが多い。前職では年始の業界紙に載っている会長・社長の挨拶を分析して、業界とか各社の動きを予測するという作業をしていたが、過半数は経営企画室の誰かにまとめさせたようなものだった。そうではない個性を感じる人はどこかで面談に出かける予定をたてていた。
結局日本の現状は現在の資産をリスクに晒したくないが故に、走りながら考えるようなシンドい目をしたくないとか、もっと石橋を叩いて渡りたいという人が増えたのであろう。創業社長が30~40年かけて突っ走って、そこで一緒に働いていた人が独自の社風を作り上げて継承している時代はよいにしても、人の思考や行動様式は個人的なもので、それを継承する機会は時が経てば薄れていき、企業も活力を失うことはある。だから社風だけでなく、やはり高い専門性をもってそれを継承していくことも必要だ。そもそもアメリカのベンチャーには専門性に関しては最高部類の人を集める傾向があるので、短期でも成果があらわせやすいが、日本では組織が人を育てる傾向が強いのでビジネスの離陸や成長が遅い。
アメリカがクラウド・ビッグデータの時代を迎えたのは、先頭集団が統計の学者・専門家を動員したからだと思う。しかし大学発ベンチャーのような学業側からだけの起業をしても、走りながら考えるような野性味を備えて、その場その場の戦いを勝ち抜く気力や度胸や経験というのを踏まえなければ、ビジネスとしては前に進めるのは難しいだろう。現実問題としてはいろいろなタイプの人のコラボレーションで新たな事業を進めるしかないのだろうが、ただ集まっただけでは力が集結できずに考え方も発散してしまう。そこで新事業に取り組みながら、中心メンバーでOJT的にワークショップを行って、プロジェクト管理とともに専門性と野性のバランスをとれるように支援することをやろうかと思う。