投稿日: Jan 29, 2014 1:37:49 AM
経営判断を誤らせないために
文化放送キャリアパートナーズ 就職情報研究所の就職人気ベスト300が発表されたようだ(参考)。こういったランキングはあまり意味がないと思っているのだが、それは仕事や企業の実際の社会的価値とはかけ離れているし、本人よりも親がすすめる価値観に左右される点が大きいからだ。特に母親が「ウチのダンナもこんなところに勤めていればよかったのに」という「たら、れば」を感じるからである。特に上位がそうであって、今回ベスト5に入ったJTBやANAにどんな未来を託しているのか、皆目わからない。
だがやはりランキングが上の企業には成績優秀な大卒が集まるだろう。学生の文系と理系に分けて就職人気をみると、結構大きな格差のついている企業があって、会社の姿勢や戦略が反映しているように伺える。当然ながら重厚長大やモノづくり系産業は理系の志望が今なお高く、理系1位東芝、4位三菱重工、5位日立、8位三菱電機などと変わらないのと同時に、情報家電系の23位パナソニック、52位ソニーなどは戦略不明で一時ほどではなくなったが未だに人気がある。
逆にコンテンツ系の企業はIT系は理系に人気はあっても、テレビ関係はそこそこになるし、広告や出版になると理系人気がガタッと落ちてしまう。これでは優秀な人がとりにくいだろうし、そもそもとる気がないともいえそうだ。過去のコンテンツ企業は、「IT系の仕事は契約社員でいいや」と考えることもあったが、それが誤った黒船論とか経営判断を狂わせることにつながっているので、デジタルファーストの時代の経営が考えられるような戦略上の重要ポストの人を社内から出すためにも、コンテンツ企業は理系の人が活躍できそうな期待感を抱かさせなければならない。
しかし元々理系の人がいくらか居たと感じたのは小学館系であって、さすがに今のランキングでも理系の人気度は割りと高い(179位、ちなみに講談社は理系258位)ようだが、角川(理系251位)でもそんなに理系の人気はない。取次ぎや映画なども同じ課題を背負っているが、やはり理系人気はベスト300位に入らないくらい低めになる。
コンテンツの売り方や消費の仕方がITに重点を置くようになっていくと、ただクリエイトの企画折衝をするだけでは経営としてお金をまわすことはできず、コンテンツは店晒しとか死蔵になるものが多くなり会社は窮していく。むしろマーケティングとか市場とのマッチングというところを工夫して、眠っているコンテンツも日の目を見るようにするのが課題なのだから、コンテンツ企業の中での理系と文系のバランスは重要になっていくだろう。