投稿日: Mar 31, 2010 10:52:12 PM
アナロジーで考え始める癖のある方へ
電子書籍が音楽配信の二の舞にならないように、という懸念というか憂いというか抵抗が出版界にはあるようだ。結論をいってしまうと二の舞になる部分は間違いなくある。2000年をすぎた頃から(もう10年経っているが)情報発信は紙よりもWebファーストになっていった。そのために紙でもTVでもネットからネタを拾ってくることが多くなったのである。そのような情報は紙に載せて専売的に商売できるわけがない。だから今は編集者が紙の出版社に勤務している関係上、紙という形で売られているが、編集者がクロスメディア的な会社に転職したら、電子書籍で出るのは当たり前になるであろう。
音楽であっても、音楽家がレコード会社の支配下にいなければならない理由はないので、行く先は音楽家にとって都合がよいようにビジネスは組み替えられていくはずである。だいたい巨大なヒットを生む人たちはほんの一握りなのだから、パッケージ系の業界にとってもその人たちだけが居て欲しいはずだ。だから音楽の世界もマスマーケティングする世界と、音楽家の自主活動の世界に、まず2分するのがよいだろう。
こういう議論が日本ではできにくいのは、どうしても過去のビジネスのレールの上で物事を考えてしまうからである。うちの子供とWikipediaに関する話をしていて気がついたのだが、我々はついつい百科事典という言葉を使ってしまうが、子供はフィジカルな百科事典を見たことも触ったこともないのである。辞書はどうしても電子辞書の方を先にひいてしまう。Wikiを百科事典のたとえで話することは、もはや意味を失っている。
だいたいWikiが百科事典なのではなく、子供にとってはWebの「検索」そのものが百科事典をひくようなものになっている面もある。Webは多義的だが、百科事典はなぜ必要だったのか、人はなぜ音楽を聴きたがるのか、などから考え直さないとデジタル・ネットのビジネスをビジョンとしてまとめられないであろう。