投稿日: Dec 25, 2012 1:30:52 AM
特定の人だけのものではないと思う方へ
いろんな分野で2012年の10大ニュースがまとめられているが、IT・ネット法務の国内10大ニュースというのがあった。従来のFaceToFaceの時に、「ここまでやっても構わない」というモラルとかルールというのがIT・ネットの上では成立しないことが増えているように思う。これは生活者を守るという点で規制を増やしていくと、IT・ネットのビジネスを抑制することが増えていき、社会として効率が上がらないという面もあって悩ましい。薬のネット通販に関しても、薬禍を理由に規制する指導があったが、最高裁では認められなかった。これは諸外国に比べて日本独自の商習慣に基づく厳しい規制が通用しない判断という意味では進歩かもしれない。いずれにせよネットだけを問題にするのではなく、リアルワールドも含めて社会の改革という視点で考えることが重要だ。
多くの場合はネットビジネスに対して横槍を入れるために規制を強める動きがあって、上記サイトでも指摘しているが、そもそも著作権法の改正のテーマとして「日本版フェアユース」を話題にしようとしていたのに、議員立法による修正で逆転劇があり、違法ダウンロードの刑事罰という不思議な(実質の適用ができそうもない)改正となった。政治の世界のITリテラシーの無さはグローバルに見れば後進国であることは間違いない。これから発展途上国レベルに向かっていかなければならない。ネットの問題は特定の人に責任を負わせるとか、押さえ込むようなものではなく、国民全てが関係あるものとして、社会的な広がりをもって考えるべきである。
ネットでよく話題になることにステマがある。ペニーオークションでタレントがやってもいないのに金をもらって「得した」とつぶやいたりblogに書いたことが問題となっている。しかし彼らは通常のコマーシャルの仕事の延長で行っただけで、別に人を騙す気はなかっただろう。TVのCFにおいてもタレントが消費者にお勧めをするのは仕事であって、実際に台詞として「私も使っています」といっても、それが事実かどうか詮索することは行われないだろう。雑誌の広告でもグラフィックス表現は別に世の事実を表しているわけではない。おそらくTVの方が広告の制約は大きいだろうが、広告とはそのようなものだということは消費者にも分かっていたと思う。
ネットというのは通信の世界で、mailやblogは私信のような印象が強かったのだろうが、私信の郵便でもDMは山ほどあるように、次第にネットに嘘があってはならないという意識はなくなっていくだろう。Amazonのレビューでも関係者が書き込んでいるものはいくらでもあるが、次第に人々がそれを見分ける目を身につけるようになるはずだ。ただ若年者やネットに不慣れな人をどうするのかという問題はある。被害者を減らすにはネット慣れをしてもらうしかなく、結局は公共サービスのネット化を進めれば、ネットリテラシーも高まるはずだ。現状は日本のeJapanが途方もなく遅れていること
が、官公庁が効率化できないだけでなく、国民のネット利用がスムースに行かないという悪循環を起こしているのだろう。