投稿日: Nov 15, 2011 12:54:45 AM
期待と現実の乖離を感じる方へ
2010年末に2011の動向を探るイベントを行った際に、facebookがもっともブレイクするだろうということになり、スマートTVはまだ難しいな、アンドロイドは突っ走るだろうな、などの予測を得た。電子書籍は論外ということで議論せずだった。これらはニュースの背景にある要素を検討したので、マスメディアの論調とは異なったが、前提条件の変化が無い限り「当たる」予測であり、実際に大体その時の観測道理に推移している。では2012年に向けてその次を考えるとしても、ニュースがにぎやかな割には大筋ではそう大きな変化は無さそうだ。しかし個別のテーマを見ていくと、この1年間の最大の変化はソーシャルメディアへの取り組みが結構バラけてきたことである。
そもそもアメリカに発して発展途上国までfacebookは8億人ほどのユーザを獲得し、その勢いで日本でも認識が高まった経緯からして、facebookはmixiと異なり海外ニュースに先導されてきた。そこで特にアメリカでのfacebook応用やアプリやマーケティングから学ぼうという指向があったし、その分野で積極的に情報発信をした人たちがいた。しかし日本のクライアントにソーシャルメディア・マーケティングを提案しようと思っても、日本の普及率はアジアの中でもかなり低いほうで、やっと登録1000万利用500万といったところであって、メディアは価値は低いとか、マーケティングの基本を踏まえないでソーシャルメディアに手を出すのは幻想だ、という見方がある。アメリカでの成功例も、個別によく検討すると、その企業はソーシャルメディアが無い時代でも立派にやっていたということもある。この種のニュースはソーシャルメディア理解のイントロのようなものである。
ソーシャルメディアによって従来のマーケティングが否定されたわけではないし、マスメディアも役割を終えたわけでもないから、費用対効果という点ではソーシャルメディアに入れ込みすぎるのは間違いとするのはもっともだ。むしろ今までのWebにおいてもレスポンスが取れるような工夫をしていないところが、いくらソーシャルメディアに手を出しても、よい結果が得られないのは当然だ。Webでお客様からお問い合わせの欄に要件とメアドを入れても無しのつぶてのサイトが現実には多いのだから、ソーシャル云々を言う前に体制を作り直す必要がある。このような重たさがあるので、どちらかというとマーケティング視点のソーシャルメディア対応は日本ではあまり進んではいない。
これらとは別に、炎上などコミュニケーションの破綻を通して、そのようなことが抑制されるネット上でのよい関係作りを考えるというアプローチもある。これは心理学とか社会学的な観察を伴うもので、ソーシャルという集団活動における情報伝播や意識の変容を捕らえようとしている。これはマーケティング活動としても入り口にあたるものであろうし、別に物販だけではなく、今どんなメディアを使っている人にとっても底では共通のテーマであり、結局は情報リテラシーに行き着く。ソーシャルメディアは固定的な情報発信とは異なり、動的で相互作用のあるものだから、本来情報発信者の思い道理になるものではなく、情報発信者が情報を受け取って対応する姿勢ができないと、他メディア以上の効果は出ないのだという認識がまず必要である。