投稿日: May 05, 2014 12:45:17 AM
技術をいじくる前に
もはや流行語かもしれない「お・も・て・な・し」にかこつけたサービスやアイディアがニュースで紹介されたりするが、あきれてしまうようなものも多い。観光客相手の想定でスマホを使って音声から翻訳するアプリがNHKニュースで出ていた。「あなたはどこから来ましたか?」と発声すると、"Where do you come from?" と合成音がでるようなものである。真面目にこんなものを作っている方も紹介するテレビも、日本の中学校+高等学校の6年間の英語の授業を一体なんだと考えているのだろうか?
つまりこの程度のおもてなしをするなら、中学校の英語のカリキュラムをちょっといじれば必要な要件は入ってしまうし、実際に子供たちに模擬訓練を施してやれば、彼ら自身の人生のためにも役立つ学習となるだろう。日本の中学生がそれくらいのことはしゃべれるようになれば、外人が現れた時に英語の苦手な大人は中学生を連れてきて臨時通訳をさせられる。きっとそういうことを経験した中学生は、英語に関しては一皮向けた大人になり、ビジネスや個人生活でも世界が広がるであろう。
そんなことは、日本が戦後すぐに進駐軍相手にテキトーな通訳をしていた人がいっぱいいたことを思い出せば考え付く。実際には英語以外の慣れない外国語が多いから、それらについては電子化とかクラウド利用は意味があると思うが、それは個々にアプリを作る分けにはいかないもので、国が外国語大学などの協力の元にクラウド化するのがいいだろう。
しかし英語以外の、特にマイナーな外国語の場合には言語ではなくアイコンや図示などによるナビゲーションを発達させなければならないだろうし、またわざわざ日本に来られる方が対象ならば、この際に日本語を覚えてもらうような仕掛けをネットでする方が、通訳アプリよりはよいだろう。なぜならマイナーな外国語の通訳アプリは困難であることと、英語を知っている人が日本語を理解しやすくするアプリの方がずっと汎用性があるからだ。
昔から文化庁では日本に住む外人相手に日本語をどう学んでもらうかという研究とかサービスをしていたと思うが、このインターネットの時代においては、日本に来る前から日本語の予習をできるようにしてあげた方が、よっぽど「お・も・て・な・し」になるだろう。日本の情報を多く知ってから日本に向かうことになるからだ。
アプリ開発とか小手先の技術でなんとかしようと考える前に、こちら側である日本人の人間力を高めて解決に向かうことと、相手側も日本語や日本文化の理解などに人間力を発揮してもらって、人と人とのつながりの経験がたくさんできる方が国際親善のためにもいいのではないだろうか。