投稿日: Aug 26, 2011 11:47:31 PM
丸投げのITは高コストになると思う方へ
今ならソーシャルメディアマーケティングが話題であるが、いつでも旬のテーマがあって、どんな業種でもITによるソリューション提案をもって営業しているところはある。しかし元ホストコンピュータメーカーがハードウェアビジネスからソリューションビジネスに切り替えて成果が出ているわけではない。日本の官庁のシステムはeJapanの掛け声にもかかわらず、あいかわらず旧態依然で発展途上国の方がスマートで使いやすい行政システムになっている。日本の戸籍システムでも何でも前世紀と同じサービスの質でコストも下がっていない。要するにホストメーカーの主要顧客である官庁でもIT成果がでていないのだから、ソリューション提案では物事は進まない。
ではどのような時に新たなソリューションが効果を発揮するのか。それは業務の改善を指向している問題意識の高いところで、コンビニとか回転すしなどが有名なように薄利ビジネスにおいて高度な管理をなるべく無人で行わねば競争に負けてしまうところである。こういう意識のあるからこそ、日常のニュースの中から役立ちそうなものを見つけるアンテナが発達するし、何と何を組み合わせたらいいかという関連付けの発想もできるから、ITで何ができそうか気づくことになる。つまりソリューション提案が如何に立派なものであっても、問題発見能力、情報収集能力、解決のための構成力を持った顧客を見つけないと活かされることはないといえるだろう。
しかも今はすでにITは業務の主要部分を担っているので、その場その場の思いつきで導入できるようなことは減っていて、事業の進展に合わせて資金計画や組織人員計画があるように、ITの使い方も段階的に考える必要がある。製品やサービスのライフサイクルにおいて、導入期においてはトライ&エラーが行いやすい柔軟なシステムが要求され、成長期に差し掛かる前には短期間にスケールアップが可能なシステムにしなければならないし、成長期にはアウトソーシングで大量の仕事をこなせるシステムが必要になる。成熟期は徹底的なコストダウンがかのうなもの、衰退期には無人化できるものなど、一つの事業であっても上手にシステムを変えながら運営することで利益の差がつく時代である。
逆に言えば一つのソリューションで導入期から衰退期まで運用すると、余計なコストをいっぱい払ってしまうことになり、その支払いは自分で問題点をよく考えなかったから発生するのである。つまりビジネスの環境はライフサイクルにおいて不断に変化し続けるので、改善しなければならない点は不断にある。だからシステムのマイグレーションが容易なオープンシステムに向かうのであり、ライフサイクルの時期にふさわしいパートナーが必要になる。そういった選択肢が昔はなかったのが、パソコンの能力向上や、コールセンターのようなアウトソーシング先の発達や、海外のオフショアでのBPO、処理容量に制限のないといってもよいクラウドの利用などがあるので、パートナーを選ぶ能力が事業の構成力の大きな要素になりつつある。