投稿日: Sep 05, 2014 12:42:25 AM
日本人は新たな発想のモノを作り出すことよりも、改良・改善によって優れたモノを作るのが得意であるといわれた。一般にモノ作りは手先の器用さとか微細な意識に関して採りあげられることが多い。確かにiPhoneの真似でもiPadの真似でも何かしら魅力的な仕上げをすることはできるだろう。しかしその分野は中国が追いつきつつある。多くの日本のメーカーが中国に生産拠点を移したように、品質管理を中国が覚えれば量産技術で日本が優位な点はロボット化くらいしかなくなってしまう。それも追いつかれるのは時間の問題だろう。
日本は電子化の時代に縮小思考で新しいコンセプトの家電・情報家電・ゲーム器をたくさん作り出したが、2000年以降のネットの時代になると、こういった製品もコンピュータでいうところのシンクライアント化したスマホ・タブレットに市場を奪われるようになった。今まで個々の製品の中に作りこんでいた機能の多くは、ネットで供給するようになり、個々の製品は人が見ることと操作することだけがあればよいという時代である。
そのために個々のデバイス開発はほとんど利益が出ないでもかまわないようにして、ビジネスの中心をサーバー側の機能とネットサービスに比重を置くようになった。その段階で日本はデバイス開発から離れられないでビハインドになっていった。データセンターの構築とかアプリ化のようなところに開発の比重を移せなかったのである。
これはコンシューマ向けの話であるが、BtoBにおいても同様のネットサービス化が進んでいくのは確実で、これによって従来のビジネスのプロセスは大きく変わっていく。
近年アメリカからの郵便物には切手はなくなって、送り手がパソコンで伝票をプリントして封筒などに貼り付け、投函するものが主になりつつある。有名なのはUSPS Click-N-Shipで、日本では日本郵便とYahooが行うクリックポストというサービスが似ている。これは自宅プリンタでクリックポスト専用の宛名ラベルを印字して荷物に貼付し、郵便ポスト等に投かんするもので全国一律164円なので宅配便よりも安い場合がある(ポストに入るモノならば)。ただし支払いはネットでYahoo!ウォレットによる決済手続ができる人に限られる。これで切手無し、伝票無し、郵便番号読取機も不要になってしまうし、切手の代わりに個々の郵便物には誰が誰に何時何を送ったのかという情報が2次元コードでついているために、追跡可能になるし、また将来のサービスの展開にもつながるだろう。
利用者にはデータエントリーの手間が必要になるが、そもそも何処の誰に送るという情報はどこか別のところからコピーしてこなければならない場合には、受注のシステムと発送のシステムをブリッジしてやれば、かえって省力化になるし仕事の精度は上がる。
これはほんの一例で、役所の窓口業務がコンビニでできるように移行しつつあるとか、ほとんどの事務職はネットで組み換えられようとしている。つまり仕事の流れは今まで道理で現場が改良・改善してればよいQCやZDの時代の考え方は捨てなければならない。そういう経営層が増えてこなければならないのだが、現実は少し緩やか過ぎるようにみえる。
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