投稿日: Apr 02, 2016 1:18:55 AM
日本の電気・電子産業のリーダーシップが無くなるにつれて、日本発イノベーションも減ってしまった感があり、それが日本の大学や消費者の日常にも閉塞感を産み出しているようにも思える。はっきりいって退屈な毎日になりつつある。しかし面白いチャレンジのネタが尽きたわけではなく、国の政策レベルの無能さが出ているように思える。日本人が物理・化学でノーベル賞を多く取れるようになっているのは20-30年前のイノベーションが結果をだしたからで、今の日本に将来ノーベル賞が取れるようなユニークなチャレンジがされているのかどうか確信はない。
どちらかというと未だに国内では「モノ造り」神話が闊歩していて、日本製品は素晴らしいという自己陶酔が多くみられるが、モノ造りは往々にしてエンジニアリングであってサイエンスになりきれないところがあり、イノベーションの次元が低い。また社会的な効用という点でも人類の抱える問題解決とは結びつきにくく、それではノーベル賞にはならないだろう。モノ造り技術は大学などの研究ともっと結びつく必要がある。
そう考えると、真に意味あるイノベーションとは、工夫・改善の域からサイエンスの方に向かっていて、なおかつ社会的な問題解決につながるものといえそうだ。かつては日本がリーダーシップをとっていて、シャープなども多額の開発投資をしたソーラーパネルとか、伸ばしきれなかったのは残念である。対照的に原発はイノベーションがないのに巨額が投じられている。これは日本の国策上の損失でもある。
一時は日本が世界をリードした半導体も、あまりにもメモリばかりに注力しすぎて、DLPや加速度センサーやシリコンマイクのようなマイクロエレクトロニクスに後れを取ってしまった。今IoTになるとどんどん現実世界の情報をデジタルで取り込むセンサー分野が賑やかになるのだが、失地回復できるだろうか。こういったセンサー開発は中小企業でも地方大学でもできるところがいっぱいあると思う。だから国の政策などを気にせずにチャレンジしてもらえるといいなあと思う。
今まだデジタルにはつながっていないユニークな研究は地方の大学にいっぱいあり、それがIoTでデジタルにつながる日はやってくるだろうから、アメリカのモノマネのIoTではなく、青色LED開発のように自力でイノベーションを起こす志があれば、20-30年後にはよい成果がだせるかもしれない。
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