投稿日: Jan 28, 2011 11:23:5 PM
あやしいtwitterマーケティングが多いと思う方へ
1月28日に、ダイヤモンド社「もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら(もしドラ)」の企画と販促に関して、当事者の加藤貞顕氏を招いての講義と、参加者を交えての簡単な企画の演習を行った。加藤氏の手法は100ほどのテーマの卵を温めていて、社会の状況・時代の流れに応じて順次羽化させるようなものであった。それは後日紹介するとして、販促プロジェクトの話は広告代理店丸投げとはまったく違った新鮮なもので、twitterの利用という点でも典型的だと思ったので一般化して考えてみた。「もしドラ」は10-20万部いけると感じてリキを入れた制作・準備をしていて、滑り出しが順調だったので、目標を100万部に設定して社内の販促プロジェクトを始めた。自分たちでできること、当事者だからできること、というのが功を奏したと思われる。結果的には200万部以上売れ、さらに漫画、アニメ、映画、韓台中版などを予定していて、こういった展開での話題提供とともに本の販売もリンクする予定であるという。
そもそも「もしドラ」は、ウケるとふんだ内容に対して、違和感を生じさせて目立たせるデザインをしているので、最初にtwitterで盛り上がったであろうと思われる。それを直接見るような人は限られてはいるが、違和感のデザインに「はは~ん」と反応するようなマスメディアや広告関係の人の間で話題になれば、「面白そう」なネタとしてマスコミがいろいろ取り上げて露出につながる。この場合にも最初に新聞雑誌に出て、次にTVの番組に取り上げられていった。ざっと数えて新聞1000回、雑誌500回、TV100回とかになるという。このようなマスコミにネタ提供することで大衆に本をアピールするプロジェクトが続いていて、前述のさらなる販売計画になっているようだ。
かつて「郵便配達は2度ベルを鳴らす」という映画があったが、それとは無関係に「twitterは2度情報拡散する」とでも言おうか、最初に新鮮な話題を追っているアンテナ感度の高い人に向けた投げかけとしてtwitterは機能する。その対象自体は数は多くはないので、それで売れたりはしない。ネットでの話題はマスメディアへのトリガーであるので、ここはヒトひねりが必要で、採りあげるマスメディア側に対してナゾな要素を練り込んでおかないとすぐに忘れられてしまうだろう。つまりマスメディア側が単なるコピペでなく、自分であれこれ考えて自分の企画として載せる方がリテンションが大きいだろう。
マスコミが話題にすれば売り上げにつながるし、そこからもう一度アーリーアダプターがtwitterで情報を拡散し、それがエコーのように続く。ここで「KAGEROU」のようにコキおろされないように内容がしっかりしているかどうかでtwitter効果は分かれるのかもしれない。またtweetの潮が引くタイミングに関連した次の話題が登場するようなスケジューリングができていないと、瞬間的にしか売れないので、書籍のような場合は何ヶ月にわたって売らなければならないものでは、話題を出し続けるだけのネタの仕込が必要である。つまり従来は一発芸のような「くちコミ」でなんとかしようという甘い考えもあったようだが、さすがにそういうtwitterマーケティングは下火になった。しかし、くちコミ→マス→くちコミ、という3段ロケットをもっているところは、まだあまりないように思える。